【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ7)

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翌朝、私は朝ごはんを流し込むように口に駆け込み、部屋へ戻るなり身支度を整えていた。
兄だけでなく父や母までもが私の慌てるような行動に首を傾げていたけれど、今は気を取られている余裕はない。
気付けば時計はまもなく10時を指そうとしている。昨日出会った男の子と話していた約束の時間だ。
来れる時に来れば良いと言ってくれていたから何も今日じゃなくてもいい訳だが、頭の中を埋め尽くすあの紅い瞳が細められるあの笑顔を、また見たいと言う気持ちが私を急かす。

「…A、ンなめかし込んでどこ行くんだぁ？」
「あ…おにーちゃん…」

振り返った先には入り口に寄りかかりこちらをじっと見つめる兄の姿。
見つかってしまったと、素直に思ったことが口から出れば兄は理解出来ていない様子で目を丸くしていた。

「あー…えっとね…おでかけしようかなっておもっててね…」
「だからそんなめかし込んでたんだなぁ。よし、兄ちゃんも準備してくっから待ってろぉ」

出かけるとなれば当然そうなることは予想が出来た。
わしゃわしゃと私の頭を撫で乱す兄の顔は綻んでいて、もはや共に出かける気満々な兄に1人で出かけたいなど告げた所でそんなのは許されるはずないだろう。
自室へと戻る兄の姿を確認すれば、私は昨日買ったばかりのお菓子を手に抱え部屋を飛び出した。
次いで両親がいるリビングの前を物音立てず通り過ぎ、今度は家を飛び出せば私は全力で走った。
待ち合わせ場所は洋菓子屋さんの看板が目印の一つ曲がった路地の奥。洋菓子屋さんはもう何度も兄と行っていて、家からは一本道だから幼い私1人でも迷わない。
見えてきた洋菓子屋さんに笑みを漏らし、路地を入ろうとしたところで私は1人の人影に立ち止まる。

「あかとくろのおにーちゃん！」

私の声に振り返るなり笑みを浮かべる男の子に私は止めていた足を再び動かす。
男の子の元へ辿り着くなりずいっと抱えていたお菓子を差し出せば、男の子は首を傾げていた。

「あかとくろのおにーちゃんとね、いっしょにたべようとおもったの！おにーちゃんにあげるね！」
「…いいのか？おまえの好きなやつじゃねえのか？」

申し訳ないと言う男の子に一歩近づき、食べて！と再び差し出せば、男の子は私の抱える幾つかのお菓子から一つを遠慮がちに手に取った。
それを口に運んだ時、細められた目元が嬉しくて、私も釣られて目を細めていた。