【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ29)

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あの後私は散々と言っていい程、兄からお説教を受けた。
何故遅くなったのかは勿論だけれど、私から香る微かな血の匂いに反応すれば、兄はたちまち私を問い詰めた。
しかし私は一切の口を割ることなく断固として沈黙を貫けば、両親が仲裁に入ることにより事なきを得た。
その日の夜は初めて見た男の子の涙が頭の中を駆け巡り、私は中々寝付くことが出来ず、それを見かねた兄は私が眠れるまでずっと隣で手を繋いでいてくれた。
きっと何かを感じ取っているからこそ不安なんだろうと、兄の行動一つ一つから読み取ることは出来たものの、それでも男の子の存在を明かさないのは2人だけの約束だったから。兄以外に慕える存在が初めて出来たことが、それほどに嬉しかったのだ。

スラム街という寂れた環境で育ってきたとは思えない、芯の通った姿。
凛とした佇まいに、有無を言わさぬオーラ。
何よりもあの紅い瞳に捕われれば、たちまち思考回路は停止してしまうほどの目力に、私は一目惚れしたと言っても過言ではない。
そんな圧倒的な存在感がありながらも、迷子になった私に救いの手を差し出してくれるやさしさは、むず痒くなる程に温かかった。

けれど私が何よりも好きだったのは、あの凛とした表情が崩れたときのふにゃりとした笑み。

男の子の全部が全部、本当に大好きでたまらなかった。

いつだって約束の場所に行けば私を見つけて、少し気怠げな声で呼んでくれる。

その後私が男の子の胸に飛び込めば、口角上げて、自信に満ちた笑みをまた見せてくれるんだ。

そう信じて、あの後も何度も何度も兄達の目を盗んで通った。
雨の日だって、雪の日だって、
沢山のお菓子を抱えて同じ道を走った。

だけど、

あの日以降、私が男の子の姿を見ることは無かった。