【REBORN!】だいすきお兄ちゃん【４】 (ページ13)

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《１５８》ページ13

【スクアーロside】

「…んー…Aはよくわかんない…」

唇を尖らせながら首を傾げるAは俺の顔を見ながらも、時折目を泳がせている。
その仕草で確実にその発言が嘘だと分かってしまうのは、大事な妹の僅かな異変にも気付いてやりたいという兄心故に。
しかし例えこれが嘘だと分かっていても、ここで問い詰めた所で簡単には吐くことはないだろう。
そう思うとこれ以上聞いても時間の無駄だと思えるが、しかし何か厄介ごとに巻き込まれてる可能性も捨てきれないため見逃すわけにもいかない。

「なぁA。兄ちゃんはAが何か良くねえことに巻き込まれてんじゃねぇかと心配してんだぁ。言いたくねえことなのは分かったが…やっぱり心配は心配だぁ」

片腕で抱き締めていたAの体は、気づけば俺の両腕の中に収まっていた。
俺のことを追っかけ回して離れることを知らないAが突然何も言わずに家を飛び出すなんてことされちゃ、そりゃ大事な妹なんだ。誰だって心配するだろう。
ましてや親の職業は汚ねえもんで、俺もAですらその道に進むつもりだからこそ、この年齢でも時折親の仕事を手伝うことだってある。
恨みを買われて矛先がAに向いてる可能性だって高いモンだから、尚更何かあったらと思わずにはいられなかった。

「あのね、おにーちゃん…A…」
「おう、なんだぁ？」

俺の言葉にだんだんと目に涙を溜めたAは、ぐっと堪えながらも必死に言葉を紡いでいた。
急かす事なくそれを待てば、言いたいけどやはり言いにくいのか、その大きな目からは大粒の涙が溢れ始める。

「大丈夫、大丈夫だぁ。別に怒りやしねえよ…大丈夫だからなぁ」
「おにーちゃ、あのねぇ…っあのねー…」

相変わらず涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔だというのに、Aは躊躇うことなく俺の胸に顔を埋める。
大事な可愛い妹の泣きっ面が汚いなんざ一切思うことはないが、平気で俺の服で鼻を拭く姿には流石に笑いが漏れた。
背中や頭をゆっくりと撫でながら宥めてやれば、次第に気持ちが落ち着いて来たのか、溢れていた涙は少しずつ減っていく。
俺の服がびっしょりと濡れていた頃にはAの涙も鼻水も止まり、代わりに小さな声で事情を話し始めようとするAが居た。