《１００》 ページ4
「ぼすっ…わた、わたしっ…悔しくて…！でもぉ…うれ、しがったよぉぉ…ッ！」
部屋へと入った途端に私の堪えていた涙は限界と言わんばかりに溢れて来る。
あんなに馬鹿にされて悔しかったはずなのに、ボスの言葉が上書きするように嬉しくてたまらない。
�狃蠢Г魯好�アーロの妹だから�甅瑕殳�で成り上がった��
私にかけられていた呪いのような言葉は、ボスのたった一言で解かれるなんて想像もしていなかった。
今からは後ろ指さされる言葉に反抗してもいいのだろうか。
私はボスが認めてくれたからこそ、今の立場があるんだと、胸を張って叫んでもいいのだろうか。
悔しさを勝る嬉しさ故に止まらない涙。
その後しばらくは縋るようにボスの胸で泣きじゃくる私を、ボスは何も言わずにただそばにいてくれた。
「…ごめんなさい、ありがとうございます…」
「謝るのか礼を言うのか、どちらかにしやがれ」
差し出されたティッシュは私の鼻水を包み込み、その後はボスの手によりゴミ箱の中へと投げられる。
ようやく泣き止んだ私は気合いを入れ直し雑務へと励んでいたが、途中思い出すと視界が歪んで来るために堪えれば、次には鼻が垂れてきた。
集中出来てないなと改めて気合いを入れても、やはりボスの言葉は頭に残っていて、私の情緒を煽るのが上手いようだ。
いい加減見飽きているだろう私の行動に対し、ボスは私が鼻を啜るたびに溜息を漏らしながらも文句は溢さないでいてくれた。
「ねぇボス、どうして私は出入り自由にしてくれたんですか？」
ふとレヴィに言われた言葉に疑問を抱いた私はそのままボスに投げかける。
一瞬眉が微かに顰められ、答えてくれないかとも思ったけれど、ボスは意外にもすんなり答えてくれた。
「てめぇはボス補佐なんだから仕事をしてもらはねぇとな。
…それに、どうせまたあのドカスと何かあったんだろ。また出ていかれたら迷惑だ」
その言葉に思い出す兄の存在。
ここ一週間、兄と顔を合わせたのは食事の時だけで会話は一切交わしていなかった。
�犹笋竜せ�ちに気づいてくれなかったから�瓩覆鵑討�だらない理由で避けてる私を、兄が知ったらどう思うだろうか。考えるだけで嫌になる。
「…そっか、やっぱりボスは何でもお見通しですね」
苦笑いと共に漏れた言葉に反応はない。それはボスなりの私に対する優しさなんだろう。
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作者名：まいたけ | 作成日時：2023年8月3日 14時
