【REBORN!】だいすきお兄ちゃん (ページ32)

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《２８》ページ32

雨戦に引き続き、霧戦も波乱を呼んだ。
アルコバレーノであるマーモンが負けるなど誰が予想できただろう。それほどに六道骸の力は圧倒的だった。

リング争奪戦も今夜で最後と考えたら、長かった日がずいぶんあっという間にも感じる。

「A、そろそろ行くぜー？」
ひょこっと顔を覗かせたベルは私に準備が整っているのかを確認しにきたようだ。
わかったと返事をし、ベルの元へと急ぐ。
なんだか賑やかな雰囲気で始まった争奪戦も、進むにつれ1人、また1人と脱落してしまい今となっては幹部はベルとレヴィだけ。

今朝、朝食を終え暇を持て余していたベルにマーモンがいなくて寂しいかと聞いたら退屈と言っていた。
目元は前髪に覆われて見えないけれど、どこか寂しげな背中からはベルの感情が痛いほど伝わる。
幼い頃からヴァリアーに幹部として迎えられ、そこからずっと共に過ごしてきた仲間達が途端にいなくなったのだから、寂しく無いわけがないだろう。
置いてけぼりにされたのは同じだと思っていたら、無意識にベルの手を掴んでいた。

「…何？王子の許可なく手ぇ繋ぐなんて普通じゃありえねーんだけど」
「ごめん、今日だけ許してよ。なんか寂しくなっちゃってさ」

うまく笑えていただろうか。
ベルは私の言葉を聞くなり仕方ねーなと言って手を握り返してくれた。
私の手を引いて歩くベルはいつも通り無邪気に笑っているのに、今日はそれだけじゃないように感じる。
なんだか昔のお兄ちゃんのようだと思ったら、目頭が熱くなるのを感じた。

けれど泣いている場合じゃ無い。溢れそうになる涙をぐっと堪え、私達は並盛中へと向かう。
今日が最終決戦。ついにボスが10代目の座を手に入れる日が来た。
私もベルも、レヴィもそう信じて疑っていなかった。

…なのに、これはどういう状況なのだろうか。
ゴーラ・モスカは以前私が軽く交戦した男、雲雀恭弥の手によって倒され、雲のリングはあっけなくその手で完成されてしまった。
この場にいる誰もが呆気に取られている中、ボスと雲雀恭弥だけは好戦的な目を交わしている。
けれどここでボスを戦わせるわけにはいかない。
私は繋いでいたベルの手を離し、ボスと雲雀恭弥の前に立ちはだかった。