《２０》 ページ24
「えっ？今日は私もいくの？」
初戦は晴の守護者の戦いでルッスーリアが敗北したと聞かされた。
ヴァリアーの凄さは体験したことはないけれど、裏世界では知らない人などいない程に恐れられている存在だっただけに、ルッスーリアの敗北は衝撃だった。
重症ではあるものの命に別状はないルッスーリアを見て胸を撫で下ろしたのも束の間で、翌日にはギリギリでレヴィが勝利を上げたと聞いて驚きを隠せなかった。
その勝利が沢田綱吉の妨害によるものだということで、今回の嵐戦は念の為にとわたしも同行するよう告げられたのだ。
「基本は他の雑魚共と周辺の警備になるが、もし変な奴が現れれば即知らせろぉ。なんならその後やっちまっても構わねぇ」
「うん、了解！初めての現場任務だから頑張らなきゃね！」
夜の学校など、よほどのことがない限りはわたしの出番は無いだろう。
けれどもしかしたらの可能性を考えると、胸が高鳴る。
兄程の戦闘マニアではないが、楽しみにしてしまうところはやっぱり兄妹だなと思う。
同じことを考えていたのか、兄もわたしを見てやっぱり似てるなんて言っていた。
顔を見合わせながら笑い、わたし達は他のメンバーと合流して会場である並盛中へ向かった。
校舎の上から見ていると、姿を現す沢田綱吉らしき人物たち。
まだ少し幼げな顔をしている限り、私より少し下…ぐらいだろうか。
この面々の誰かがルッスーリアを…なんて思うと少し驚いてはしまうが、それでも今宵の嵐戦はヴァリアーに旗が上がることが予想できる。
兄が家を出て数年、私がまだイタリアに滞在していたとき、ヴァリアーに最年少で幹部となった人がいると聞いたことがあった。
私がヴァリアーに入隊したあと、それがベルだと聞かされたときは尊敬以外何もでなかった。
ヴァリアー一の天才が白旗をあげるなどありえない。
「じゃあベル、頑張ってね」
「うししっ♪余裕で勝ってやんよ」
一言声をかけたら、ベルは無邪気に笑っていた。
正直同い歳のベルの戦闘スキルなんてめちゃくちゃ見たくて仕方ないけれど、ここはぐっと堪え私も持ち場につく。
外まで響く爆発が戦闘開始の合図なのか、校舎からは爆発音などが入り乱れた音が広がっていた。
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作者名：まいたけ | 作成日時：2023年6月15日 18時
