30話 ページ30
〜石切丸side〜
酷い空気だ。
明らかに本丸内に何かおかしな空気が流れてる。
外は叩きつけるような雨が連日降り続いていた。
｢今剣さんの様子はどうだい？｣
｢眠ってしまったが……｣
｢岩融殿！一期一振です、いらっしゃいますか？｣
｢おぉ、如何したか｣
｢弟たちの様子が……身体が怠いそうで、今剣さんの様子はどうかとお伺いしたくて……。｣
この異様な空気に先にやられたのは短刀たちだった。
身体が小さく、宿る主の霊力も少ないため少しの変化に耐えきれないんだろう。
かく言う私達も多分、この状況が続けば全員動けなくなってしまってもおかしくない。
粟田口はもちろん、小夜さんや太鼓鐘さんも調子がおかしいらしく江雪さんと鶴丸さんが尋ねてきた。
｢あの……村雨殿は……。｣
｢わからない……。｣
｢そうですか……。｣
そこに、主のところへ向かっていた三日月さんと小狐丸さんが戻ってきた。
｢どうでした？｣
｢それが、審神者部屋のあたりに強力な結界が張ってあって近づけんのです。｣
村雨さんの姿が見えなくなってから、何日経っただろうか。
内番も、出陣の令も無くなっていた。
バキッ……バキバキッ
何かが破壊されるような凄まじい音にみなで廊下に出ると加州さんと大和守さんが廊下を勢いよく走ってきた。
｢政府の……役人が！！｣
｢今、歌仙さんが対応していて……｣
息を切らせた2人の後ろから歌仙さんがその役人とやらを連れてこちらまで来る。
｢初めまして。本丸監査部の智代梨です。｣
目の前に立つのは、今剣と鶴丸国永。その腕の中には10もいくかいかないかぐらいの幼い人間の子どもだった。
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作者名：綺衣 | 作成日時：2020年1月23日 0時
