【ハイキュー】酔 わ せ て 【短編集】

シルク・ストッキングス - 木葉秋紀 ページ22

「……秋紀、あの」
「んー？」

耳をかすめる、細い髪がくすぐったい。
腰に回った腕は、私の動きを制するには十分すぎるほどたくましい。

「…離してくれないかなって」
「はぁ？なんで」
「…恥ずかしいから？」
「なんで疑問形なんだよ」

秋紀は、さらに私の肩口に顔を埋める。

「今さらだろ。つーかこれ以上に恥ずかしいことも経験済みじゃん」
「なんでそういうこと言っちゃうの」


秋紀のほうから同棲の話を持ちかけられてから約半年。

同棲しているとやっぱり安心もするし、何よりずっと近くに居られるのは嬉しいんだけど。

(…たまーに愛情表現過多なんだよなぁ、秋紀は)

「…嬉しいけどね」
「…？」

秋紀は、一瞬私の呟きに首を傾げたけど、それ以上追求はしてこなかった。


「……つーかさ、A」
「ん？」
「…お前、男の匂いすんだけど」
「…えっ」

そう言って、秋紀は私の髪に顔を近づける。

(…嫉妬深いなぁ……好きだけど…)
「飲み会帰りだもん。隣男の人だったし」
「は？聞いてねーし」
「言ってないし」

(…こういう時の秋紀って、無性にいじりたくなるんだよね)
からかうつもりで、無抵抗のまま秋紀に体重を預けた。

いつもならふざけ合って終わるから、今日もきっと＿＿＿





…と、甘く見たのが間違いだったらしい。


「…なんだそれ、むかつく」
「え…っきゃ、」


ドサ、という音がして、思わず上を見上げる。
するとそこには、したり顔で私を見下ろす秋紀の姿があって＿＿


「え、ちょ、っと…秋紀？ほんとに何もないよ？」
「んなのわーってるよ」
「じゃあなんで……っん、」


言葉を紡ごうとすれば、その口を秋紀に塞がれてしまう。


「は、……っ秋紀…てば、」
「…ふは、顔真っ赤…そりゃそうだよな。抱きしめたくらいで恥ずかしいなんて言ってるくらいなんだから」
「わかってるなら離して、っ」
「やだね」

(即答……)

抗議のつもりで秋紀を睨んでも、結局また唇を押し付けられてしまった。




徐々に力が抜けていく身体を、最初みたいに、秋紀のたくましい腕が支えて＿＿＿








「いい加減慣れろって」







色っぽい声と表情に、

これ以上の抵抗はできそうもなくて






シルク・ストッキングス
カクテル言葉【抗えない誘惑】

ゴールデン・ドーン - 金田一勇太郎→←ライジング・サン - 孤爪研磨

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す