『...ホワイトデー?』 ページ24
少しずつ暖かくなってきた三月中旬。
生徒達は今学期最後の期末テストを乗り越え、あと一週間程で迎える春休み中の予定を友達同士で話し合っているのを度々耳にする。
そんなお楽しみ気分な生徒達とは反対に、私達教員は成績についての会議をしながら、新学期に向けての準備に追われ始めていた。
そのお陰で、最近は帰宅するのが八時前と遅くなり、夕飯の支度やその他の家事を私より先に帰っている宇髄さんに殆ど頼りっぱなしだ。
「A。次の火曜日の夜、少し早めに上がってくる事ってできるか?」
そして今日も七時四十五分頃に帰宅し、待っていてくれた宇髄さんにお礼を言って美味しい夕飯を食べ、あとはお風呂に入るだけとなった時に、宇髄さんは私にそう問い掛けた。
『多分出来ると思いますけど』
「じゃあ外に食べに行こうぜ。七時半に店予約しとくから」
外食は構わないが、何故また急にそんなことを言い出したのだろう。
もしかして、毎日夕飯の支度をしてもらっていたのは、やはり迷惑だったのだろうか。
『すみません、疲れているのにいろいろ任せっきりで。宇髄さんが良ければ、私が朝のうちに宇髄さんの夕飯を作っておきましょうか?私は帰る時に外で済ませますから』
「あーいや、別に晩飯作るのが面倒になったわけじゃねぇよ。むしろ俺の方が普段からお前に任せてばっかだし、こんくらいで文句言える立場じゃねぇしな」
『でも、それなら何故急に外食なんて?』
夕飯作りが嫌になったわではないなら普通に外食したくなっただけなのだろうが、それならわざわざ平日じゃなくてもいいのではないか。
全く宇髄さんの意図を理解出来ず頭に疑問符を浮かべる私に、宇髄さんはケラケラと笑った。
「だってホワイトデーだろ、来週の火曜日」
『...ホワイトデー?』
ほら、と宇髄さんは棚の上に置かれたカレンダーを指差す。
来週の火曜日の日付は"14"となっている。
仕事にばかり気を取られすぎて、ホワイトデーの存在を忘れてしまっていたのだ。
「バレンタインのお返しもそこで渡すから、派手に期待して待っとけよ?」
『.....はい』
組んだ膝に頬杖を付いて悪戯っ子の様に笑う宇髄さんに、私は思わず緩んでしまいそうな口元を抑えながら小さく返事をした。
『 ...本当、そういうところ狡いですよ』→←『無理なこと言わないの』
425人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美緒ちゃん(プロフ) - 楽しかったぁぁぁぁぁあ!ありがとうございましたぁぁぁぁぁあ! (2022年7月23日 14時) (レス) @page39 id: 4f2d722dc2 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - りとさん» 分かります!あれですね、人の不幸は蜜の味ってやつですね(((特にすれ違いとかもう...いいぞもっとやれ!ってなりますね!((クズ (2022年2月5日 12時) (レス) id: f3367b760e (このIDを非表示/違反報告)
りと - 自分シリアス大好物なのでw(?)夢主ちゃんと宇髄さんが喧嘩するところは毎回にやにやしながら読んでますww(((最低 (2022年1月3日 2時) (レス) @page9 id: cb2121edf2 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - りとさん» いつも読んでいただきありがとうございます!大人な余裕を持った宇髄さんカッコイイですよね...子供っぽい時とのギャップが...!!確かに最近喧嘩してませんもんね、させましょう!(?) (2022年1月1日 21時) (レス) id: f3367b760e (このIDを非表示/違反報告)
りと - 宇髄さん余裕ぶってる態度とってんのいいな…かっこいい…。いつもムフフしながら(?)読ませてもらってます。応援してます!!無理せず頑張ってください!!宇髄さんと夢主ちゃん軽く喧嘩してほしいですw((((え? (2021年12月26日 2時) (レス) @page3 id: cb2121edf2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:イリア | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.pnp/sakuramoti
作成日時:2021年12月18日 20時