お団子の結び方【夏油傑】

▽ ページ26

駅から少し歩いた先には既に屋台が並んでて、沢山の人で賑わっていた。





「すげぇ！」


『何食べる！？何食べる！？』


「餓鬼か」


「あ、こらっ走ったら危ないよ」





静かな高専とは違う異様な場所にテンションが上がる。


五条はかき氷あんじゃん！と言いながら屋台に走って行った。



「私メロンー」



硝子も後に続く。



『私イチゴがいいー！

…ほら、夏油も行こっ！』




私は振り返って夏油の方に戻る。

そして、少し困った顔をして置いてけぼりにされた夏油の手を引く。



一瞬驚いた顔をして、

笑いながら





「そうだね」





って言った夏油は私の手を握り返した。







.
.
.







かき氷を買った私達はその後も、

チョコバナナやりんご飴を食べて

金魚すくい、輪投げ、ヨーヨー釣りなどのゲームを楽しんだ。





『あ、射的ある！やってみたい！』


「また要らない物増えるよー？」





さっきやった輪投げで皆と勝負してたら賞品として子供向けのおもちゃやフィギュアなど、絶対に要らない物をもらった。

しかもデカイのもあるから少しかさばる。





『えー、私あれ欲しい！熊のストラップみたいの』





私が指差して示したのは熊のぬいぐるみのストラップ。

本体は小さいのに大きな箱に入っている。




「はい。3回勝負だよ」




私はお金を渡して、銃を受け取った。

射的なんて初めてやるな。



箱が大きいから当たるだろうと思っていたけど…






「残念だったねぇ嬢ちゃん」


「あんなに張り切っていたのに」


「1発も当たんないとは」


「銃向いてねぇな」


『だって初めてだったし…』






まさかの1発も当たらなかった。


すかっ

すかっ

すかっ


掠りもしなかった。



鞄に付けたら可愛いと思ったんだけどな…





「…じゃあ私もやってみようかな」


「毎度ありぃ」





そう言って夏油は渡された銃を構えた。

▼→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す