第1タワー 15話 ページ38
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『雷霆の槍』が充電完了するまでの3時間ほど。格納庫に収納されていた携帯食料でお腹を満たし、個々に夏眠を取って休養していた。
もうすぐで3時間が経つという時、今後の予定について話しているヴィル先輩とルーク先輩と少し離れたところで私とエペルは壁に寄りかかっていた。
「そういえば……ユウサンのキー、ここまでの層にはなかったよね」
「うん。他のタワーで見つかれば連絡が来るはずだし、まだ見つかってないんだと思う……」
ここまでは3人の力だけでやって来た。キーを見つけるまで、私はみんなの後ろに着いていくことしかできない。……どれだけ屈辱的だろうか。
「………………」
というか私、タワーの中にキーがあるって思い込んでるけど、本当にそうなの?シュウは『嘆きの島』にはあると言っていたけど、タワー内にあるなんて言っていなかった。
キーを取っていたのは、あの赤い目のカローン。そのカローンがここにいるとも限らないし、第一どうしてカローンは私のキーを奪ったの?ブロットの研究に使うため?でもそれならあの時の優しいオルトくんが、キーのことについて説明してくれていたはず。なのに、それもなかった。
「なんで……」
考えれば考えるほど分からなくなる。
結局私は何がしたいの?何をしなければいけないの?
__一体どうすれば…………。
「ユウサン」
「えっ?」
頭を抱え、目を瞑っていた。黒いモヤモヤが、濃い霞みたいにずっと晴れなくて。
「僕、ユウサンが何を考えてるのかは分からないけど……きっと何か思い詰めてるんだよね」
「………」
「君のことだから、早くキーを取り戻さなくちゃとか、僕たちの足でまといにならないようにしなくちゃって思ってるんじゃないかな?」
「そ、れは……その…………」
私の内心をエペルは的確に突いてくる。
「……大丈夫だよ。
僕もヴィルサンもルークサンも、ユウサンを足でまといだなんて思ってない。それに今、一番苦しんでるがユウサンだってことも分かってる」
「……!」
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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年4月21日 21時