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「これが……『雷霆の槍』!」
「で、でげぇ!こったヴィルサンの背よりもでっただ槍、どせばいんず?!」
「力持ちの人じゃなきゃ、数人係で持たなきゃじゃん!」
現れた、大きな大きな金色の槍。てか、緊急時にこの槍使うんでしょ!?もっと使いやすいように設計しなきゃじゃん!
「ゴアアアアアアアアア!!デテコイイイイィィィ!!!」
「ドアが……!」
タイタンの声と大きな地響き。もうあの扉が壊れるのも間近だ。
「考えてる暇はない。とにかく起動するわよ!」
ヴィル先輩が起動キーを刺すと、持ち手のタッチパネル付き装置からアナウンスが流れた。
『コード:ティタノマキア。緊急レベルAの突発重大事案発生と認定。全魔導回路を解放。充電率100%。『雷霆の槍』起動します』
「すごい……!!槍に漲る魔力で、全身がびりびりとしびれるようだ!」
雷霆の槍が起動すると、ビリビリと稲妻を纏う。そして槍からはとんでもないほどの魔力を同時に感じた。
『操縦者の指紋登録を行います。パネルに手を触れてください』
「ヴィルサン早く!もうドアがやぶられちまう!!」
「わかってる!」
『操縦者の登録完了。安全装置のロックを解除。照準サポートモードにて起動します』
「ぐっ……重い!魔法で浮かせて……」
これだけの大きさ、当たり前のように重量級だ。ヴィル先輩が槍を魔法で浮かせた直後、遂に扉を破ったタイタンが、格納庫に侵入してきた。
「ニンゲン……ドコダアアア!ガアアア!!!」
「タイタンが格納庫に入ってきた!」
「くっ!魔法で操縦しようとしても、槍から放たれるパワーが大きすぎて安定しない!アタシとエペルで本体を支える。ルーク!照準はアンタが定めて!」
「ウィ!狩人として失敗はできないね。いざ、タイタン狩りだ!」
「ユウ、アンタは私たちとタイタンからできるだけ離れなさい。失敗は許されないけれど、もしもの時のために逃走経路の確保を!」
「はい!」
ヴィル先輩の指示で私たち三人はそれぞれの行動につく。エペルはヴィル先輩と槍を支え、ルーク先輩はタイタンの中心を貫くよう、槍を構える。
魔法の使えない私は、タイタンが扉を壊す際に開けた大穴から、せめて私たちが通れるほどの大きさを確保する。
みんなの方を見た時、槍は膨大なパワーをその体に宿していた。
「ヴィル、今だ!」
「くらいなさい!」
雷のような巨大な魔法は、タイタンの巨体に向かっていった。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年4月21日 21時