第1タワー 13話 ページ34
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背後で拳を振るう巨大なファントム。私たちは必死に階段を降りて、全力で走る。
「なんだあの山みてった岩のばげもん!」
「まさか、あれが『原初のファントム』!?」
「管制室で『S.T.Y.X.』のスタッフに聞いた特徴と一致している。あれはおそらく、岩のファントム『ファントム・タイタンズ・アース』だ!」
「今までのファントムの比にならないじゃないですか!」
何!あのでっかいの!あんなにでかいなんて聞いてませんケド!?予め連絡してもらえますか!
「足止めするわ!氷よ!怪物の足を凍らせてしまいなさい!はぁっ!」
「ゴアアアアアア!」
一度後ろを振り向いたヴィル先輩は杖を振って、タイタンの足元を凍らせる。しかし、タイタンは再び拳を地面に叩きつけ、氷を粉々に砕いた。
「なっ……ヴィルサンの魔法があった簡単に破られるんずな!」
「ジューーピタァーーーー!!ドコダァーーーーー!!」
エペルの言うように、ヴィル先輩の魔法が効かなかったのは事実。だけど私にはそれより気になることがあった。
『ジュピター』……たしかにそう叫んだ。誰かの名前……だとすれば、タイタンは私たちをそう思い込んでいるのかもしれない。
「くっ!ひとまず撤退よ!マップでは、この先に『雷霆の槍』の格納庫がある!」
「ウィ!
ルーク先輩を最後尾に、私たちは脳内マップから次の格納庫を探し出す。
「あった!格納庫はここよ!」
階段を降りまくって、やっとのことで格納庫に辿り着く。
「ユウ、ルークサン!早く!!」
私とルーク先輩が滑り込みの形で中に入ると、勢いよくエペルとヴィル先輩は扉を閉めた。外からはドンドンと、強い衝撃音が聞こえる。
「すごい揺れだ……タイタンがドアに体当たりしてんのか!?やばい!このままじゃドアがやぶられちまう!」
「早く何とかしなきゃ、ここで終わっちゃう……!」
「『雷霆の槍』はどこだい!?」
「今探してる!ええと、A-16の壁面にある操作パネルを……」
ヴィル先輩はスタッフから聞いた手順で、パネルを操作する。正しい順に操作していくと、プシューとハッチが開くような音がした。
「どこかでなにかが開いた音がしたね」
「部屋の奥、何か光ってます!」
「あれは!」
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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年4月21日 21時