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私たちが次に開けるケージを見定めていると、近くのケージがガタガタと大きく揺れた。
「あのケージ、すごい勢いで動いてる!」
「オーララ!ずいぶんと元気がいいファントムだね」
「こっちとしては大人しい子がよかったですけどね……」
「いつ飛び出してきてもおかしくない。ユウが狙われたら厄介だし、早めに対処しましょう」
「……」
たしかに魔法が使えない私が狙われたら、簡単にリタイア。だからみんなにとって、私を守ることは優先事項だ。
……でも、悔しいなぁ。ずっと、こんなふうに見てることしかできないなんて。まるで、キーを手に入れるまでの私みたいだ。
「なら、ケージを破壊する役目は私が引き受けるよ」
「わかった。エペル、迎撃の準備はいい?」
「はい、いつでもいけます!」
「頼もしいね!それでは、狩りを始めるとしよう。……ハッ!」
ルーク先輩を筆頭に、3人はファントムと対峙する。
ケージの鍵が壊された瞬間、中からは少し大きな個体のファントムが飛び出してきた。それでもまだ彼らが余裕で勝てるほどの強さだった。
「最初からファントムしか入ってないのはわかってたけど……無駄な戦闘を避けられた感じがしちゃいます」
「おやおや。なにを落ち込む必要があるんだい?私たちの力を合わせて当面の危機を退けた。喜ばしい事じゃないか」
「うーん。でもやっぱりハズレは素直に喜べない……かな?」
「時間を無駄にしてる……って、少しでも考えちゃうもんね」
「そうね。ユウの言う通り、時間の面でも魔力の残量の面でもできるだけ無駄はなくしたい。
というわけで、おしゃべりはおしまい。さあ、次にいきましょう」
ファントムがブロット化し、完全に気化したのを見届けると私たちはまた別のケージに向かう。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年4月21日 21時