PTM-2425 ページ28
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ガンッ、ガンッ！
あるケージの内側から、かなり激しい衝突音が聞こえる。
「この音……どう考えても人間が出せる音じゃない。もしかして、ファントムが内側から体当たりしているの？」
「そのようだね。ケージがところどころ変形しはじめている……飛び出してくるのも時間の問題だろう」
「できればこっちから攻撃を仕掛けたいところですけど……」
向こうから出てくるのを待っていたら、タイミングが難しいし、それに厄介な個体だったら、倒すのに手間取っちゃう。
「じゃあファントムが出てくる前にケージを開けて先制攻撃を仕掛けましょう！」
「名案だ！じゃあエペルくん、キミが扉を開けてくれるかい？私はここで獲物が飛び出してくる瞬間を待たせてもらうよ」
「任せてください。……ハァッ！！」
「グギャアアアア！！！！！」
エペルが魔法で攻撃し、扉を開ける。中からは勢いよくファントムが飛び出してきた。
後ろでそれを待ち構えていたルーク先輩と、2人であっという間にファントムを倒しきった。
「2人とも、お疲れ様。悪くない連携だったわよ」
「すっごく息ぴったりでした！」
「我々が先制できたのは、エペルくんが一撃で扉を開けてくれたおかげだね」
「ケージが壊れかけていたせいもあると思いますけど……上手くいって良かったです」
謙虚に言ったエペル。だけど、少しため息を吐いて、残念そうに言う。
「はあ……でも、余計な時間がとられちゃった」
「しょうがないよ。さっきまでと違って、私たちにはヒントがない。探すのに時間がかかるのは当たり前だよ」
私たちに与えられたのは、微かな女性の声。そしてそれが近くにいるという、アバウトすぎるものだけ。確実に一つ一つ潰していかないと、彼女は見つけられない。
「そっか…………。でも、早く研究員さんの入ったケージを見つけないといけないことには変わりないよね」
「ええ。おしゃべりをしている時間はないわ」
「ウィ。気を取り直して先に進もう」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年4月21日 21時
