PTM-27446 ページ20
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2つ目のケージもオルトくんが指し示したもの。それを壊そうと、エペルが再び前に出る。
「あのケージを開けるんですね。じゃあ、僕が魔法で……！」
「ノン！獰猛なファントムが潜んでいるかもしれないからね。ここは私に任せてくれ」
「でも……」
「おや、エペルくん。私との約束を忘れてしまったかな？」
「……わかりました。ルークサンの指示に従います」
嘆きの島に来た際にルーク先輩と交わした約束。それを思い出したエペルは、大人しく下がる。
「あら。いつもと違って随分いい子なお返事ね。どんな約束をしたの？あとで教えてちょうだい」
「ウィ！さあ、姿を見せてもらうよ。……フッ！」
ルーク先輩がケージに魔法をぶつけた瞬間。
「グギャアアア！！！！！」
中から咆哮をあげるファントムが飛び出してきた。
まだまだ弱い個体であるということもあり、ケージを壊した流れで、ルーク先輩はあっという間にそれを倒した。
「エペルくん、ユウくん。ＩＤカードを探すのは手伝ってくれるかい？」
「わかりました」
「了解です！」
ブロットが広がる床の周辺を、私たちは目を凝らして探す。その時、エペルがどこかを見つめていた。
「エペル、どうかしたの？」
「あっ……えっと、見て、あのケージ」
彼が目線を向けるのは、たった今ファントムが出てきたケージ。
「ケージの鍵の部分だけが壊されてる。こんなに小さい的を正確に狙えるなんて、すごいな……」
「本当だ……。さっきのエペルみたいに、箱全体がひしゃげてないね！」
「ゔっ……ユウサン、それは言わないで……」
「えへへ」
おしゃべりはほどほどにして、私たちはまたＩＤカードが落ちていないか見て回る。
「えっと、ＩＤカードは……。ルークサン、こっちにはなさそうです」
「私のほうも、それらしいものは見つけられなかったよ」
「そう。じゃあ、次に進むとしましょう」
「「「はい！／ああ」」」
ヴィル先輩の後ろに続き、私たちは最後のケージの元へ歩き出した。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年4月21日 21時
