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Shu side
やっぱハナから階段で行くしか道はない。そう思っていた時、急にエレベーターが作動し始めた。
「「「!!」」」
「エレベーターのドアが開いた」
「フッ。こんなあからさまな罠に自ら飛び込む馬鹿はいないでしょう」
「アズール。リーダーがお前と同基準だと勘違いしない方がいい」
ため息をはくアズールを通り過ぎ、リドルは開いていくエレベーターの前に立つ。
「自ら敵を内部に招き入れようとするなんて、いい度胸がおありだね。いいだろう。その勝負、受けて立つ!」
「ちょっ……僕の話聞いてました!?どう考えても罠ですってば!」
「そんなことは承知のうえさ。もたもたしていると置いていってしまうよ」
「ああもうっ!」
リドル、アズールに引き続き、オレもエレベーターに入り込む。
3人が足を踏み入れた時、彼のホログラムが映し出された。
『やあ!みなさん。呪われた収容所『タルタロス』の第3タワーへようこそ!』
「言わんこっちゃない。だから罠だって言ったのに……」
「だとしてもこれが最短ルートだ」
「全滅への最短ルートにならないといいんですがね!」
『あれれー?冒険に出る前からもう仲間割れ?そんなことで、この先に待ち受ける試練の数々を乗り越えていけるのかなぁ?』
「試練……?」
『ふふっ、冒険には試練が付き物でしょう?そして君たちへの最初の試練は……これさ!』
表示されたのは『冥界伝説』というタイトル。オレは初耳だが…隣の2人の反応からして、彼らはこれを知っているようだ。
「これは……リドルさんが我を忘れて挑んでいた『冥界伝説』じゃありませんか」
『今から『冥府』下りに挑む君たちには、ぴったりのチョイスでしょ?』
「まさか、このゲームが試練だっていうのかい?」
『そうだよ。あ……リドル・ローズハートさんにはファントムと戦うよりも難易度が高かったかな?』
「なんだって!?ゲームなんかクリアしなくても、ボクが本気を出せば魔法で扉をこじ開けて……」
オルトの安い挑発に乗せられそうになるリドルを、アズールは慌てて制し、オレも彼の肩に手を置く。
「待ってくださいリドルさん!あなたが本気で魔法を使ったらエレベーター内がとんでもないことになりますよ!こんなところで共倒れになるのはごめんだ。僕がゲームをクリアします」
「あー、ほら。落ち着けリドル」
顔が真っ赤なリドルをよそに、アズールはコントローラーを手にする。
「オルトさん、ゲームを始めて下さい」
『はぁい♪それじゃあ、ゲームスタート!』
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作者名:紅葉 | 作成日時:2023年4月21日 21時