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「ドアの外に聞き耳を立ててみたところ、どうやらこの島の人間にとってもこの停電は想定外の出来事らしい。ここにいるスタッフたちも、みな本部へ向かうようだ」
「僕たちは、どうしますか？オルトクンが来てくれるまでここにいたほうがいい……かな」
「勝手に動くのは良くない……けど、今の状況が分からないのもあるから、無理やり外に出るのもありだと思う」
今は情報が必要だ。無線も通じないとなれば、直接誰かに聞くしかない。
……それに、ここに来て初めてブロットの滴る音が聞こえた。それもオーバーブロットの合図である、たくさんの雫の音が。それを知るためならば、外に出る必要がある。
「ふむ……少し待っていてくれるかい？」
ルーク先輩は組んでいた腕を解くと、詠唱を唱え始める。
「『ほら、私から逃げきってみせて。
ドアの外に向かって黙っているルーク先輩。私とエペルは顔を見合せて、不思議そうにしていると彼は「うん」と小さく頷いた。
「…………ヴィルたちが個室から出て、本部の中を移動しはじめている」
「え？ヴィルサンたちには会えなかったし、ユニーク魔法はかけられてないはずじゃ……」
「フフ……実はね、ヴィルに差し入れしたスキンケア用品のひとつに、私の魔法をかけておいたのさ」
「はぇっ！？人間だけでねぐ、道具さも目印つけられるってことな！？」
「ふふふ。私が狙う獲物は、人間に限らないからね」
「ひぇ」
ヤダ、この先輩怖すぎる！！！ＮＲＣで目をつけられたくないトップ5入るね！ちなみに他はリーチ兄弟とかジャミル先輩とかかな！？
「受け渡し前に魔法効果をスキャンされてしまう可能性も高かったが、どうやら免れたらしい。『
コスメに“おまじない”程度の魔法が込められているのはよくあることだからね。魔法士のコスメプランナーがプロデュースした、魔法が込められたネイルポリッシュ専門店もある。
イデアくんとオルトくんは、私のユニーク魔法おまじないをそれらと同類とみなし、見逃してくれたんだろう」
「すごい！けど、やっぱおっかねえ魔法だな……。ルークサンに目印をつけられたヒト、自分ではほとんど気付けないんじゃない……かな？」
「ヴィル先輩はその“おまじない”に気づいたってことだよね……？すごっ！」
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作者名：紅葉 | 作成日時：2023年4月2日 9時
