検索窓
今日:16 hit、昨日:10 hit、合計:7,940 hit

▶︎ ページ45

.

No side


「……マレウスよ。上を見てみるがよい」

「……天井にすごい大穴があいているな」

「違う、その先じゃ。天空を見上げてみよ」

マレウスは大穴のその先を見つめた。
真っ暗な夜空に小さな星々が輝いている。そして大穴をちょうど半分にするように、大きな輝きを放つ星たちが整列している。

「この上なく美しく、星が並んでおるじゃろう。ああして星が一直線に並ぶのは古来より吉兆とされ、今日は18年ぶりに……いや100年だったかな……やっぱ300年ぶりじゃったかも?ともかく、ひさしぶりのことじゃ」

「ふっ……。つまり人の子らは何度も見られるものではない、ということだな?」

物忘れをしたリリアに、マレウスは少し口元を綻ばせる。

「うむ。じゃが……お主は長い生の中で、何度もこれと同じ星の並びを見ることになる」

「………………」

「次に星々が整列するまでには、きっと世界は大きく変化を遂げているはずじゃ。お主はそれを受け入れていかねばならぬ。わかるか?」

「分かっているさ。だからこそ、この学園に入学した」

既に膨大な力を持つマレウスが、わざわざこの学園に入ったのは、ただ魔法を学ぶためだけではない。そもそも目的がそれだけなら、城内で十分だろう。

「よいかマレウス。今日この場所で感じた痛みを決して忘れるな。その痛みは、お主がこの先長い刻ときを生きていくうえで失くしてはならぬものじゃ」

「…………心に留めておこう」

「よい子じゃ。さあ、今はみなが無事に日常へ戻れるよう、あの星に祈ろう」

「そうだな、リリア」

頷いたマレウスを見たリリアは、そっと天空の星を見上げ……小さく言った。

「………………。わしも幾度となくあの星に願いをかけてきたが……



これが最後かもしれん」

「…………え?」

不可解アラート!→←▶︎



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (5 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅葉 | 作成日時:2023年3月18日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。