帰省ノスタルジア！ ページ9
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「はいはーい！そこの君たち道のど真ん中に突っ立ってないで、どいたどいた！」
「ブッチ先輩……って、なんですかその大荷物！？バックパックにボストンバッグ3つ、さらにでかいクーラーボックスまで」
走ってきたラギー先輩は両手に大量の荷物を抱えている。
えっ、バックパッカーに就任したんですか、いつの間に？
「これッスか？シシシッ、大食堂と購買部の消費期限切れそうな食材、全部貰ってきたんスよ。長期休暇に入るから、毎回タダ同然でくれるんス」
「い、いいなぁ〜！」
こちとらいつも賃金ギリギリの生活。それ故に今の私は『格安』『無料』という言葉に敏感になっている。
「えぇ？でも、そんなに食いきれないでしょ」
「なーに言ってんスか。これっぽっちの量、近所の悪ガキどもに食わせたらあっちゅー間になくなるッスよ。ばあちゃんにもホリデーくらい腹一杯食わせてやらなきゃ。おっと、冷凍食品が溶けちまう。
んじゃ、また来年ッスー！」
ラギー先輩は再び荷物を持って、さっさと闇の鏡を通って帰ってしまった。
「行ってしまった……。それにしても、近所の悪ガキども……って？」
「ラギー先輩の地元は、貧しい暮らしをしている家庭が多いらしい。だから長期休暇のたびにたくさん食べ物を持って帰って近所の子どもにも食わせてやってるんだと」
「ジャック……お前もなんで両手いっぱいに植木鉢抱えてんの？植木屋でも始める気？」
後ろからやって来たジャックは、これまた両手にサボテンが生えた植木鉢を大量に抱えていた。
「これは趣味で育ててるサボテンだ。休暇中に水やりしなかったら枯れちまうだろうが」
「ただのいい子」
「お、俺のことはいいんだよ！」
なんだよ、褒めただけじゃん！やっぱりジャックは典型的なツンデレ属性……。
「ラギーのヤツ、赤の他人にメシをわけてやろうなんて意外といいヤツなんだゾ」
「捕らえた獲物は弱者にも分け隔てなく与える。それがハイエナだ。ラギー先輩もそうやって育ってきたんだろ」
普段あれだけケチんぼなラギー先輩が食べ物を分けるとは……きっと近所の子ども達やおばあさんのことも大好きなんだろうなぁ。
「フン。ガキを何人も集めて炊き出しなんて考えただけでゾッとするぜ。1人いるだけでうるさくてかなわねぇってのに」
後ろから普通の革靴とは違う、乾いた足音がしたかと思うと、レオナ先輩が私達の隣にやって来た。
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作者名：紅葉 | 作成日時：2022年9月5日 19時
