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豪快ヒール! ページ37

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オアシスまでの長い長い道のりを進む私達。
やっとのことで着いたと思ったオアシスも、水が一滴もなく干からびていた。

「この光景……夢で見たことがあるような」

「オイ、ユウ。なにボーッとしてんだゾ。暑さでやられちまったのか?」

「あっ、ううん、大丈夫」

グリムが私の顔をのぞき込むようにして尋ねた。心配してくれたんだねありがとう、白米10合はいけます。

「__全体、止まれ!」

「や、やっとオアシスに着いたんだゾ?」

「これより15分の休憩をとる。その後、また寮へ向かい、行進開始だ」

ジャミル先輩の掛け声で、一斉に砂漠に腰を下ろすスカラビア寮生たち。私も既に筋肉痛の一歩手前のような手足を、ブラブラと揺らした。

「水、水…………って、このオアシス、水が全部干上がっちまってるんだゾ!」

「本当……湿ってすらないね」

干からびているのはオアシスだけじゃなく、周りに植えられている木もだ。どうやら水がなくなってから、長い間が経っているらしい。

「みず……水……、水がほしいのか?」

「当たり前なんだゾ!もう喉がカラカラだぁ……」

「なら、オレがよく冷えた美味い水を飲ませてやるよ!」

あれ…?このカリム先輩、いつものカリム先輩……?
濁っていた瞳には光がもどり、私達を照らし続ける太陽なような、弾ける笑顔を浮かべた。


「『熱砂の憩い、終わらぬ宴。歌え、踊れ!


……枯れない恵み(オアシス・メーカー)!』」

カリム先輩がマジカルペンを構え、そう唱えると、雲ひとつなかった空が曇りはじめる。

「ん?」

鼻に何か落ちてきたと思い、上を見上げるとシャワーのように冷たい水が降ってきた。

「うわ〜〜〜!恵みの雨なんだゾ〜〜〜!!」

「うめぇ〜!乾いた身体中に染み渡る美味さだ……!」

「はぁ、生き返る……」

誰もが降りかかる水を飲み始め、私も同じように手に溜めた水に口をつける。

「美味しっ!」

「そうか、美味いか!水だけでいいなら、乾いたオアシスをたっぷり満たすくらい出してやれるぜ」

「これって、もしかしてユニーク魔法……?」

「ああ。オレのユニーク魔法『枯れない恵み(オアシス・メーカー)』は……少しの魔力で美味しい水をたくさん作り出すことができるんだ」

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作者名:紅葉 | 作成日時:2022年9月5日 19時

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