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「そういえば、何故みんな家に帰らないんですか?」
「ん?ああ……。この間、寮対抗マジフト大会と期末テストがあっただろ?ウチの寮、どっちも順位が最下位になっちまってさ」
「……」
「それで、一念発起。寮生みんなで自主的に特訓しようぜってことになったんだ」
グリムがジャミル先輩に言った質問をもう一度投げかけると、そう返ってきた。
“自主的に”という引っかかる言葉付きで。
「マジフト大会ではスタートラインにすら立てなかったオンボロ寮からしてみたら、羨ましい話なんだゾ」
「そっかぁ。そりゃ残念だったな」
「この冬休み……俺たちは毎日6時間、勉強したり魔法の実技訓練をして過ごそうと思ってる」
「毎日6時間?それじゃあ、学園で授業がある時となにも変わらねぇんだゾ。ホリデーってのは、休むもんだ。宿題なんか休み明けてからやりゃいいんだよ。……って、レオナは言ってたゾ」
「あいかわらずだな、あの人は……」
グリム、あんなおじたんの言うことは宛にしちゃいけません!ペッ、しなさい、ペッ!(?)
「うーん。でも、言われてみれば確かにそうかもしれない。オレのとーちゃんも、『学ぶときは真剣に学び遊ぶときは思い切り遊べ』って言ってたし……レオナの言う通りメリハリが大切かもな。
よし!オレは決めたぜ、ジャミル。やっぱり休暇はちゃんと取るべきだ。寮生たちを明日実家に帰してやろう」
「えっ!?」
カリム先輩がそう言うと、ジャミル先輩は目を丸くして驚いた。まあ、急に予定改変はびっくりだよね……。
「このことは寮生たちには夕食の席で話すことにする。ジャミル、みんなに欠席しないよう伝えておいてくれ」
「あ、ああ……。わかった」
「そうだ、ユウたちにスカラビアを案内してやるよ。見せたいものがあるんだ」
「こら、カリム!寮生には勉強させておいてお前が遊んでいたら示しがつかないだろ」
私とグリムの手を引くカリム先輩をジャミル先輩が引き止めた。
「せっかく客人が来てるんだ。今日はいいじゃないか」
「……カリム」
「うっ。わかったよ。そう怒るなって。
じゃあ、防衛魔法の特訓でもするか。試合は腹ごなしにもちょうどいい。おーい、誰か。相手をしてくれないか!」
「「「はい、寮長!」」」
ジャミル先輩に怒られたカリム先輩は数人の寮生を呼び出し、特訓をすることに。
私はこういうの初めてだから、めっちゃ緊張して、楽しみ!!!
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作者名:紅葉 | 作成日時:2022年9月5日 19時