検索窓
今日:8 hit、昨日:4 hit、合計:7,962 hit

抹消パスト! ページ7

.


「……ハッ……」

「あ、目ぇ覚ました」

「意識の方は大丈夫ですかね?」

「アズール、この指は何本に見えますか?」

私も先程目を覚ましたばかりだが、アズール先輩はオーバーブロットの影響がまだ残っているかもしれない。
ジェイド先輩は手をパーにして、5本指を立てた。

「8……本?」

「うん。まだ気が動転しているようですね。でも、よかった。なんとかブロットの暴走が治まったようですね」

「……ったく、手こずらせやがって」

「いやいや、レオナさんはそれ言っちゃだめっしょ」

同じことを数週間絵にもやらかした貴方が言えませんね、ホント。

「僕は……一体、なにを?」

「魔法の使い過ぎでオーバーブロットしてしまったんです。覚えていませんか?」

「僕に力をくださいよぉ〜〜って泣きながらみんなの魔法吸い上げてさぁ。ちょ〜ダサかった。ちょっとゲンメツ」

「そ、そんな……僕が暴走するなんて……。信じられない……」

「ま、コツコツ集めてきたモンを台無しにされたらそりゃ怒るッスよね。オレだって、ずっと貯めてる貯金箱を他人に割られたら絶対許さないと思うし」

「ラギー先輩のそれとは違うと思います」

割られても中のお金が消えることはないしね。アズール先輩の場合、全部誰かさんが砂にしちゃったし。
まあ、お願いしたのは私ですけど!!!!

「でも、悪徳商法はダメなんだゾ。反省しろ」

「その前に、お前らは他人の作った対策ノートで楽しようとしたことを反省しろ!」

ジャックに正論をぶちかまされたグリムはショボンとなって、私の足にすりついた。
アズール先輩はというと、グリムの一言が刺さったのか、顔を下げて震えていた。

「…でも凄かったですよ、あの対策ノート。グリムに80点もの高得点を取らせるなんて」

「……え?」

「確かに。だってアンタの作ったテスト対策ノート見て一夜漬けしただけで、90点以上取れちゃったもん」

「ああ。まさに虎の巻、だったな」

「100年分のテスト出題傾向をてめーの力で分析して作ったもんだと、学園長から聞いた。あんたの汚いやり口は認められねぇが……その根性だけは認めてやってもいいぜ」

思いもよらない私たちからの褒め言葉に顔を上げ、呆然となったアズール先輩だが、すぐに元の表情に戻った。

「…………。フン。そんな慰め、嬉しくもなんともありませんよ」

しかし彼の目元には雀の涙程度に、雫が溜まっていた。

▶︎→←▶︎



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.2/10 (11 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
25人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紅葉 | 作成日時:2022年8月29日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。