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薄暗い建物の中を、私は走り続けた。
長い廊下や黒板がある部屋、広場のような場所にも出た。息切れをするほど走った後に辿り着いたのは、大きな図書館だ。ここも最初の棺のように、本がふわふわ浮いている。
「というか、ここは学校？」
黒板と沢山の椅子と机がある部屋を見た。教室のような作りだった。よくよく考えてみれば、さっき通った広場も中庭だったのかもしれない。
どうしてこうなったかなぁ〜……。
首をひねらせていると、目の隅で見たことあるような青い炎が揺れた。
「オレ様の鼻から逃げられると思ったか！ニンゲンめ！」
「あっ！さっきの猫ちゃん！」
「だから猫じゃねえって言ってんだゾ！さあ、丸焼きにされたくなかったらその服を＿＿＿ふぎゃっ！？」
ピシャン！という音とともにグリムが小さく悲鳴を上げる。
「痛ぇゾ！ なんだぁこの紐！」
「紐ではありません。愛の鞭です！」
真っ暗な図書館の奥から現れたのは、黒いシルクハットと同じく黒色の目のところだけのマスクを身につけた、全身真っ黒の男性。
私は知ってる。学校で言ってたからねっ！
「不審者！」
「ちょっと失礼なことを言わないでください！」
指をさして思ったことを口に出せば、男性から否定された。
うっそだー！だって学校で『黒いマスクと黒い服を着た不審者が目撃されています』って言ってたもんね！
だいたいの不審者は真っ黒けっけだもんね！
「ああ、やっと見つけました。君、今年の新入生ですね？ダメじゃありませんか。勝手に扉ゲートから出るなんて！それに、まだ手懐けられていない使い魔の同伴は校則違反ですよ」
「離せ〜！オレ様はこんなヤツの使い魔じゃねぇんだゾ！」
「はいはい、反抗的な使い魔はみんなそう言うんです。少し静かにしていましょうね」
捕まえたグリムの口を塞いだ男性。「ふがふが！」とグリムが叫んでいる。
「まったく。勝手に扉を開けて出てきてしまった新入生など前代未聞です！
はぁ……どれだけせっかちさんなんですか。さあさあ、とっくに入学式は始まっていますよ。鏡の間に行きましょう」
「………新入生？」
色々分からない点があるけど、ここはどうやら私の予想した通りどこかの学校みたい。
でも、ウチの近くにこんな立派な学校あったかな……？
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作者名：紅葉 | 作成日時：2022年5月11日 22時
