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「ねえ拓司くん、今日楽しかった?」
「うん」
「そっかあ」
楽しめたみたいでよかった。
私もいつか、二人でなんて贅沢言わないから、誰かと一緒に...あ、わんころとか一緒なら万が一で撮られても平気かな。
「...なんかさあ」
「ん?」
「酒飲んでたらAに会いたくなった」
「ピァ」
「何でかわかんないけど。だから来た」
「そ、うなんだ...」
会いたくなったとか急に爆弾落としてくるのなんなんだろう。拓司くんは私をどうしたいのだろうか。
「私もね、会いたかったよ」
「...そう」
拓司くんの手が私の頭をそっと撫でた。温かい。優しい手。
「こないだ福良さんが」
「ふくらさん?」
「飲み会とか、Aはなんも言わないのかって言ってきた」
「...そうなんだ」
「Aは嫌?俺が誰かと飲み行くの」
「そんなわけないよ。拓司くんが楽しそうでむしろ嬉しい」
飲みがストレス発散の場になっているのならそれでいい。
拓司くんはしばらくじっと私の目を見つめて それならいいけど、と頷いた。
「Aは自分より他人のこと優先するから心配なんだよ。もっとワガママ言ったっていいのに」
「ワガママなんてそんな」
「どっか飯でも行く?」
「...!」
「行きたいって顔してるじゃん」
「い...きたいけど」
「行く?」
「...っ行かない!」
私がそう返すと拓司くんは不満そうな顔をして私の頬をぶにゅっと潰した。
「俺に迷惑かかるとか思ってる?」
「...」
「沈黙は肯定と受け取る。気にしなくていいって言ってんじゃん」
「だめだよ。拓司くん撮られたら大変だし、」
「うるせえな。たまには二人で出かけようって言ってんだけど」
「...デート?」
「そう捉えたいならどうぞ」
こちらに背中を向けてそう零した彼は トイレ借りる、と言って居なくなった。
「デート...」
あんな風に誘われたの初めて。どうしよう、嬉しい。
...でも拓司くん酔ってるし、酔った勢いで適当に言っただけかも。あまり本気にしないでおこう。期待したダメージ大きいし。
「冗談とかじゃないからな」
「えっ」
いつの間にか背後に立っていた拓司くんが私の頭に手を置いてそう言った。
「とりあえず明日、いつどこに行くか決めるから」
欠伸をしながらそう言うと 眠いから寝る、と呟いてシャワーも浴びずにお布団に潜ってしまった。別にいいんだけど、明日シャワー浴びてる時間あるのかな。
...どうしよう。口角が全然下がらないや。
拓司くんと二人で出かけられるなんて、夢みたいで信じられない。
拓司くん、覚えてますように。
私もそそくさと隣に潜り込んで目を閉じた。
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花鳥腐月(プロフ) - コメ失礼します🙇♀一作目から少し拝見したのですが、夢主ちゃんがkwmrさんを呼ぶとき名前+さん呼びなの解釈一致すぎて震えました!!!!!陰ながら応援しております!頑張ってください💪 (2021年10月26日 18時) (レス) @page13 id: ca02359df5 (このIDを非表示/違反報告)
あむ(プロフ) - 山田嫁枠急募さん» 返信遅くなり申し訳ございません。説明欄にも記載している通り私の作品の夢主は全員固定の女の子です。そのため今のところtmrさんのお話を書く予定もありません。申し訳ございません。 (2021年8月18日 23時) (レス) id: cac5d3b9a3 (このIDを非表示/違反報告)
山田嫁枠急募 - はじめまして。いつも楽しませていただいてます。リクエストなんですがtmrさんお願いしたいです。できたらよろしくお願いします。 (2021年8月8日 1時) (レス) id: 824bd81ecb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あむ | 作者ホームページ:
作成日時:2021年2月12日 16時