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夕方から雨が降り始めた時点で
もう私の運命は決まっていたのかもしれない







「すごい雨だな…」

「急に降り始めましたね」


雨のせいで足元も悪くなかなか回れずに
今日のノルマはあと少しで達成できなかった

2件目のところは責任者の方がいらっしゃったら
契約できてたかもしれないのにな…



「傘、持ってる?」

「それが今日鞄変えたばっかりで折り畳み忘れちゃいました」



女子力の無さに呆れられるのが怖くて
先輩の目も見れずに俯いた

こうなったら駅まで走るしかない



「タオルは持ってきてるので被って走りますね」



じゃあ、って駅へ向かおうと顔を上げると
頭上には広げられた紺の傘

先輩の大きな手がそれを持ってる



「入って。一緒に帰ろう」



優しくて低い声が雨の中でも
やけに鮮明に聞こえて
心臓がうるさく音をたてた



「先輩、お車じゃないんですか?」



いつもは車で来てる先輩を
駅まで歩かせるわけにはいかない



「今日は気分的に電車乗って来たんだよね。だから俺もこっちだから」



嘘か本当かはおいといて
その優しさが嬉しかった

だってこんなこと滅多にない



「それならお言葉に甘えて。傘お邪魔します」



一緒に電車に乗れる日が来るなんて
夢にも思ってなかったから



まだうるさい心臓を連れて
先輩の傘に入れてもらいながら歩く




歩幅を合わせてくれるのも
先輩の右肩が濡れてるのも


全部に対して感謝の気持ちと
ごめんなさいを伝えたいのに

緊張のせいで私の口は固まったまま





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ソフィア(プロフ) - こういう切ない設定って何故だか太ちゃんに似合うんですよね。で、美男ですねで、太ちゃんにハマった私です。その後、わたにも転んで、今や、ちょっぴりわた多めのわたたい担です。続き楽しみにしております! (2017年7月21日 18時) (レス) id: 150cb2cc61 (このIDを非表示/違反報告)
ひなこ(プロフ) - あっちゅんさん» 長いシリーズなのにも関わらず、初めから読んでくださりありがとうございます^^;少し暗いお話になってしまいますが、最後まで2人の幸せを見守っていただけると嬉しいです。 (2017年7月21日 17時) (レス) id: 36cc8c2b27 (このIDを非表示/違反報告)
あっちゅん(プロフ) - 初めまして☆先日、私も料理上手くなるからシリーズ読ませていただきました☆太ピーファンですが…大好きな作品になりました。お話の中の渉さんが素敵で…(^_^)ヒロインを好きでいながら2人を支えた太輔君。彼が幸せになれるお話、楽しみにしてます☆ (2017年7月18日 13時) (レス) id: 41faa7232e (このIDを非表示/違反報告)
ひなこ(プロフ) - ミィさん» ミィさん、お久しぶりです^^コメントありがとうございます!何年越しなんだという感じですが、書かせていただきました(笑)最後までお楽しみいただけると嬉しいです♪ (2017年7月6日 9時) (レス) id: 36cc8c2b27 (このIDを非表示/違反報告)
ミィ(プロフ) - 「私も料理うまくなるから」シリーズ、大好きだったので嬉しいです。太輔くん、ずっと側で見守ってくれてましたね。まずは、本編を読み返してみます! (2017年7月5日 15時) (レス) id: deebce4b7e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひなこ | 作成日時:2017年7月4日 2時

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