【佐久早聖臣】この病の名前は恋ではない

31 ページ32

A「…で、その…変な顔してた…って本当ですか？」

佐久早「…は？誰が？」

A「え、佐久早くんが？」

佐久早「は？？」





もう言ったからには聞くまで聞こうと思った私は、再度聞き直す。

しかし、お互い顔を合わせ疑問符を浮かべてしまう。



なんの話かさっぱりわからない彼は、「何を言っているんだ、こいつは」と言わんばかりの表情。

…まぁ、私も詳しく聞いてないのでよくわからないのですけどね。





佐久早「…てか誰から聞いたの、それ」

A「小鳥遊さんです」

佐久早「誰それ…新しい友達？」

A「え、覚えてません…？佐久早くんに告白したけど「諦められない」って言ってた子です」

佐久早「は！？」





歩き始めた足をまたしても止めて、顔を見合わせる我々。

今度は目を見開いて「何を言っているんだ、こいつは」をバージョンアップした顔で訴えてくる佐久早くん。



…思わず「今日の佐久早くんは意外と面白いな？」と思ってしまった。





佐久早「…なんで笑ってんの？てか、は…？！え、…はあああぁ？？なんで、いつの間に仲良くなったわけ？？」

A「あれ、笑ってました？いやぁ、その…ふふ…！反応が面白くてつい」

佐久早「いや、笑い事じゃないんだけど？？」

A「なんで逆ギレしてるんですか…」





1人百面相をする佐久早くんに、私は思わず笑いをこぼす。

終いには逆ギレを起こし、こちらを睨みつけては手で顔を覆う。





佐久早「はぁーーー…待って…、いや、訳がわからないんだけど…？なに、どういうこと…？？」

A「もう家の前なんですけど」

佐久早「ちょっと黙っててくんない？」

A「ええ…」





眉間にシワを集め、状況を飲み込めずにいる佐久早くんだが…もう家の前なのに帰してもらえず。

…声をかけても弾かれるので、私はため息をひとつ。





A「…じゃあ、ちゃんと話すので中入ります？」





私は自分の家を指差し、頭を抱える彼に言った。





…まぁ、今回の悩みの種は私なんですけどね！





＊

32→←30

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す