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佐久早「…A、」
A「………なんですか」
佐久早「名前で呼んで」
A「……、」
そう言うと、彼女は開いていた口を閉じてしまう。
そのまま黙り込んでしまうと、彼女の友人が「ほら、」と言って俺に釘を刺してくる。
A「………」
佐久早「………」
さっきまでのすました笑いでさえ消え、緊張が顔に出ていた。
__ああ、そうか。
俺もそれに気づかないほど鈍くはない。
佐久早「…いいよ、別に無理に呼ばなくても」
A「っ…」
つい張り合ってしまい、勢いで「名前呼んで」なんて言ってしまったが…彼女に「好きな人にでも呼んでもらいなよ」と言っていたのは外でもない俺だ。
ましてや、彼女役とはいえここまで渋るのはきっと、彼女にとっては下の名前を呼び合うことは特別なのだろう。
それもそうか。
………何を浮かれていたんだ。
あんたは、俺の本当の彼女じゃないのに___。
踵を返し、席に戻ろうとしたときだった。
ピン、となにか引っかかったように背中を引かれたかと思えば、
A「…………聖、臣…」
佐久早「……、」
俺の名前をぎこちなく呼ぶ声がした。
振り返ると、そこには酷く困り果てたAの顔。
その姿に思わず呆気にとられてしまう。
…ああ、なんだか胸の辺りがうるさくて。
佐久早「…っ、」
音花「…あっ、ちょっと!?」
A「……、」
呼び止める声がしたが、聞きもせず咄嗟にその場を離れた。
お互い思ってることは一緒なのに、その言葉は口には出さない。
__ああ、やっぱり
言わなきゃ良かったって。
*
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氷水(プロフ) - 不協和音さん» 修正しようと思ってます!44巻も出たし、佐久早くんが先輩に対して「ちゃんと敬意はらえるんだこの子っ!!(超失礼)」とかの態度とかもわかったので、続編出るまでお恥ずかしいですがこのままお待ちくださいませ…(笑)ご指摘と素敵なコメントありがとうございます!! (2020年8月13日 20時) (レス) id: b2d8d7cb3b (このIDを非表示/違反報告)
氷水(プロフ) - 不協和音さん» おわーっ!コメントありがとうございます!!久々にほめられて舞い上がっちゃいます…!!質問なんですが、これ書いたのが2020/2月でして、本誌で飯綱くん出たばっかで名前とセッターと主将しかみてなくて、3年なの見落として書いてます…(笑)続編出す際に一緒に→ (2020年8月13日 20時) (レス) id: b2d8d7cb3b (このIDを非表示/違反報告)
不協和音(プロフ) - 面白くて読ませて頂いてます!あの、質問なのですが…飯鋼君は2年生設定なんですか?? (2020年8月13日 18時) (レス) id: a4ec8b23ee (このIDを非表示/違反報告)
氷水(プロフ) - チベスナさん» 2でのご意見ありがとうございます!他の作品に比べて、私の書く小説の佐久早くん大人しいですけど…好きになってくれたのであれば本望です…!!もっと好きになる呪いをかけておきますね… (2020年4月24日 21時) (レス) id: b2d8d7cb3b (このIDを非表示/違反報告)
氷水(プロフ) - 夕妃さん» ご意見ありがとうございますー!佐久早くんを好きになってもらうはずが私まで…!?へへ、ありがとうございます!応援に応えられるような作品になるよう、頑張らせていただきますー!! (2020年4月24日 21時) (レス) id: b2d8d7cb3b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:氷水 | 作成日時:2020年3月26日 17時