あなたに好きと言われたい

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静かすぎる二人きりの部屋に響くのは
時計の針が動く音と、

君がまだあいつを深く思っているという証拠のすすり泣く声。




頑張ったね。

大好きなのに、自分からさよならを言うのは苦しかったよね。


Aは強いよ。

だから、今は好きなだけ泣いて。



君の流した涙で
この部屋がいっぱいになってしまっても、

俺はここで君の手を握り続けるから。


君が求める彼じゃないけれど…

君をひとりぼっちにはしないから。



君の悲しみがほんの1グラムでも軽くなりますように

そんなことを願いながら一晩中、
ただ黙って君の隣に寄り添ってた。







窓の外が明るくなって
鳥が鳴くような時間になると、
Aは少し重そうに顔を上げた。



真っ赤に腫らした目で、
私おぶすじゃない？なんて痛々しく笑うから…




北「いや、可愛いよ。」




泣いてるときも笑ってるときも、

ぜんぶの表情が世界中の誰よりいちばん可愛い。



そんな本音が漏れてしまった。




『な、に言って…』

北「俺Aのことが好き。」




突然のカミングアウトに驚いて揺れる黒目を逃がさないように少し距離を詰めて、
もう一度好きだと伝えた。



すごく困らせちゃったね。



でもごめん、もう引く気ない。

この手も、離す気はない。




『北斗なに言って…、まだ酔ってるの…？』

北「俺今日一滴も飲んでないよ。」




バッ、とテーブルを振り返って確認するAに、
ほらね、と俺の飲んでたジュースの缶を
あいてる方の手で取って見せた。




北「返事は今は聞かない。わかりきってるし。

…ただ少しだけ、俺に時間をくれないかな？」




困惑してる君のおでこに俺のをこつんとつけて、




北「無理に忘れようとしなくていいから、
今まで通りの時間を俺と過ごしてほしい。」




その中で俺は、Aに好きだって思ってもらえる男にきっとなるから…



そんなお願いを最後まで聞いてくれたAの
その表情からは初めて心が読み取れない。

…というか自信がない。



その震えてる唇から次に出てくるのは、
Yes なのか No なのか。


不安な気持ちを、君と繋がった左手に込めてごまかした。

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