6.夜ご飯 ページ7
シンク一面に、ボトルでシュッシュとクエン酸入りの粒を吹き付ける。
それから、お風呂場に移動して
橙色の電気をつけた。
クリーム色の浴槽をピカピカにして、
ついでに鏡のうろこも綺麗に取った。
貴くんの大きなパーカーを丁寧にネットに入れて
1.5倍の柔軟剤を洗濯機へ入れて回した。
シルバーのスポンジで、クエン酸と一緒にシンクを流したら、
新品みたいにつるんつるんになった。
ほどなくして、洗濯機からは大好きな柔軟剤のかおり。
お昼用のカルボナーラを作っていたら、ピロンとスマホが光った。
｢夜ご飯、生姜焼きがいい｣
貴くんだ。
お昼休憩にでも入ったのかな。
｢うん、わかった。たくさん作っておくね｣
何時に帰ってくるかわからないけど、
夜遅くに帰ってきても貴くんは夜ご飯をおうちで食べる。
前に、2時に帰ってきてから、カレーライスを食べていたことがあった。
その日はあんまり眠れなくて、帰ってきた物音が聞こえて、リビングに顔を出したら、音を小さくしたテレビを前に、カレーライスを頬張っていた。
｢こんなに遅くて、お腹空かないの？｣
って聞いたら、
｢空くよ、あたりまえじゃん｣
って返ってきた。
｢俺にとって夜ご飯は何時だってソラのご飯なの｣
って、真剣な顔で言われたけど、
仕事場で何ご飯かわからないごはんも食べてるんだって。
こんなに夜遅くまでお仕事してるんだから、そりゃそうか、って思ったけれど、
明らかに夜ご飯の時間に食べている仕事場のご飯を、
貴くんはぜったい｢夜ご飯｣って言わない。
その変な意地が、私はなんだか嬉しくて、
毎日おいしくなあれって夜ご飯を作る。
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凪紗。 - さなさん» 身に余る言葉をありがとうございます。励みになります。これからもどうぞご覧頂けると嬉しいです。 (2019年6月17日 0時) (
レス) id: ce83842b8b (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 最高な作品です！この作品は、もっと評価されるべきだと思うくらい、最高です！！！これからの更新、楽しみにしてます。頑張ってください。 (2019年6月16日 21時) (レス) id: d6e98db13a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：凪紗。 | 作成日時：2019年6月13日 12時
