にかちゃんだよ〜とは言えない③ (ページ13)

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緑さんの気付き③ ページ13

sideあべ

オレが二階堂くんとAちゃんの関係を疑いだしたのは、ひかるが二人のやりとりを聞いてしまったと話したとき。

そのときにふと思い出したんだよね。二階堂くんの実家にお泊りしたときのことを。

あの時は妹がいるとは知らなくて、たまたま二階堂くんの部屋に用があったらしいAちゃんがノックのあとに入ってきて。

Aちゃんはオレの姿を見るとどうもとペコッとしたので、つられてお邪魔してますとペコッとした。

二階堂くんの部屋にあった何かを回収したAちゃんはすぐに出て行ったから、やりとりは本当にそれだけ。だから顔を見たのはほんのちょっと。

Aちゃんが部屋を出たあとに妹であり名前はA、オレと同い年であることを二階堂くんから聞いて。

その時はそうなんですねとしか返せなかったけど、心の中では隣の部屋に女の子寝てる……！ってちょっと思春期な男の子だったな。

名前が同じで二階堂くんと仲がいい。

が名字は違う、ひかるから話を聞いたときはそこだけが引っかかっていた。だから憶測の域を出なかったんだけど。

それが昨日、Aちゃんの顔をボーッと眺めていたとき、口元に目が行って。既視感のある口元なんだけど誰に似ているか思い出せない。

もやもやしながら自販機コーナーでジュースを買おうとしたら二階堂くんが話しかけてくれて。

そこで二階堂くんの顔を見たとき、謎が解けたときのようなすっきり感に襲われて。

名字は芸名とかと同じように仕事上では変えられるかもしれない、もしくは結婚とかそういうので変わったのかもしれない。

下の名前に年齢、そして今気づいた口元。

これは！そう思い、思い切って二階堂くんに聞いてみた。

結果、俺の推理は正しかった。マネージャーの藤堂Aさんは二階堂くんの妹である、ということ。

「阿部、推理して当てたんだ。」

「え？舘様もそうじゃないの？」

秘密を聞いた次の日、同じく秘密を知っているという舘様、そして秘密を抱える張本人Aちゃんと小さい会議室を借りて話をしていた。

舘様も自分で気付いたのかなと思えば、偶然二階堂くんとAちゃんが一緒に帰ろうとしているところを見てしまったとのこと。

「だからなんとなく前より仲いいように見えたのかな、ふたりって。」

「そうかもですね。秘密共有してると仲間感強くなるから。」

「それなら阿部も今日から仲間だね。」