白恋の野に降れる白雪【イナアレ】

１話 ページ2

「氷名さんっ！」

真新しい制服の裾をなびかせ、従姉の名を呼ぶ少女。

「あ…、白雪ちゃん！」

軽く手を振って笑顔を見せ、名を呼び返す少女。

前者は、今日の入学式で白恋中学校へ入学をするという『白雪A』。

後者は、白雪の従姉で白恋中吹奏楽部の天才クラリネット奏者『黒雪氷名』。



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まだ春には程遠い北の地… 北海道では、この入学式でも、ちらほらと雪が降っていたが

春先…いや冬終わり頃ならではの生暖かい風と新入生の笑い声とが相まって

頬をかすめた雪の冷たさも気にならないほど心が温かくなった気がした。


「氷名さん、白恋中はすごく良いところですね！」

白雪…もとい、Aは両手を広げて微笑んだ。

それを聞いた氷名も少し驚いたがすぐに笑みを返した。

「ところで白雪ちゃん部活はどうするの？」

「う〜…ん…」

正直悩んでいた。

実はフルートを吹けるAは氷名と共に吹奏楽をやろうと考えていた。

しかし…

「なえちゃんと同じ部活がいいなぁ〜…」

なえちゃんこと白兎屋なえは意外なことに、

サッカーに興味を持ったようだった。



新入生を呼ぶ声に、Aは氷名と別れて校舎へ入っていった――――――

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