【utit】黒く染まったクリスマス【A f t e r t h e R a i n】

高校生になった彼方の苦悩 ページ49

女の子達は断られたのにも関わらず、まだ一緒に来てほしいと言ってきている。
彼方お兄ちゃんは深いため息をついて、睨むように女の子達を見た。

「あのさ、さっきのやつ見てたなら分かると思うけど俺ら疲れたから帰りたいわけ。そんな俺らにどうしても一緒に来てほしいのならもうちょっと中身も外も可愛くなってからにしろよ。どこに自信を持って話しかけてきたのかものすごく今疑問なんだけど」

「なっ……」

「分かったなら帰れよ」

「っ……ふん！」

女の子達は彼方お兄ちゃんの言葉に怒りながらどこかへと行ってしまった。
彼方お兄ちゃんはだるそうにため息をつくと、私と真冬お兄ちゃんのことを見た。

「こういうやつらが中学にはたくさんいるから離れんのが不安なの。Aと真冬は絡まれやすいし、二人とも押しに弱いからああいうやつら断るの無理でしょ？」

そう考えると、いつも絡まれたときは彼方お兄ちゃんが助けてくれていた。
私と真冬お兄ちゃんは顔を見合わせると、彼方お兄ちゃんの方をじっと見た。

『彼方お兄ちゃん、大丈夫だよ』

「僕らは彼方は心配しなくていいよ」

『高校は私達を心配しないで楽しんでよ！』

「ずっとお兄ちゃんしてなくていいんだよ？」

彼方お兄ちゃんは驚いたような顔をしたあと、ため息をついて、そうだなと呟くように言った。

「はぁ……ほんと俺お前らが素直すぎて心配。だって天使だし。まじで俺の妹と弟天使。ツライんだけど。留年すればよかった。あー、まじ無理。真冬くるまで一人で耐えるとかまじ無理。寂しくて死んじゃう。絡まれてるとき助けに行けないとかまじでクソじゃん。中高一貫校にしろよアホじゃねぇの。もうほんと無理。高校生やめたい」

まだまだ高校になった彼方お兄ちゃんの苦悩は続くみたいです。

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