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僕の白坂さんの間に沈黙が走った。
そんな時、白坂さんが僕の腕を掴み、ぐい、と少し強引に引っ張ってきた。
振り解ける、僕は一応男だから。
……なのに……
鳥肌が止まらない。
吐き気が止まらない。
泣きたい、泣きそう、無理無理無理。
ここ数年で酷くなった女嫌い……
いや、女性恐怖症は、かなり効果を発揮していて、白坂さんみたいな人ですら、僕は抵抗できなくなってしまっていた。
白坂さんに無理やり連れてこられたのは、大学近くの道にある路地裏だった。
あぁ、なんか嫌な予感がする。
怖くても、帰らなきゃ、Aと彼方の所に帰らなくちゃいけない。
だらん、としていた腕に力を込め、白坂さんの手をどうにか振りほどいた。

『なんで、こんなとこ』

僕が話しているのを遮るように、白坂さんに服の襟を掴まれ、勢いよく引き寄せられた。
突然のことに驚いていると、目の前には白坂さんの顔があって、唇には、なにか、柔らかい感触。
白坂さんにキスされたと言うのが分かったのは、少したった後だった。
あ、やば、これ……
き も ち わ る い 。
どん、と白坂さんのことを突き飛ばして、ふらつく足でなんとか後ろに下がる。

『なに、してるんですか……!』

「そんな反応しないでよ……傷つくなぁ……」

頬を膨らませて、上目遣いでこちらを見てくる白坂さんに、腰が抜けそうになる。
怖い、やだ、無理、帰りたい。
この慣れてる感じは、こういうことを何人もの人としてきたということだろう。
涙がこぼれそうになるが、なんとか堪える。
この人の前で泣きたくない。
袖で唇を拭うと、涙で歪む視界の中、なんとか白坂さんのことを睨んだ。
最悪、最悪だ。
気をつけてたのに、やられた。
気持ち悪い、むり、だめだ、やっぱり。
早く、早く帰らなきゃ……
帰って、消毒しなきゃ……
白坂さんが前にいるのにも関わらず、今は、汚されたものをどうやって落とすかということしか、頭になかった。

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あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!好きと言って頂けてとっても嬉しいです!更新はかなりゆっくりペースですが、気長に待っててくれると嬉しいです…! (2022年6月6日 16時) (レス) @page16 id: 4e3b964e65 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - この作品好きです!続き楽しみに待ってます! (2022年6月6日 13時) (レス) @page16 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
あづの ひみ(元朝日菜薔薇)(プロフ) - はおとさん» コメントありがとうございます!面白いと言っていただけて嬉しいです!更新頑張ります!! (2021年7月2日 19時) (レス) id: 4e3b964e65 (このIDを非表示/違反報告)
はおと(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!更新待ってます!! (2021年7月2日 18時) (レス) id: 36f12069ba (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あづの ひみ(元朝日菜薔薇) | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/AdAsnhmp/  
作成日時:2021年6月6日 9時

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