江戸川 乱歩【虫除け】 ページ28
「やーだー!行かないで!」
「そうは言っても、俺仕事が…」
そう言うと、僕と仕事どっちが大事なんだ〜!と駄々を捏ね始める乱歩さん。
「そりゃ乱歩さんですけど」
「じゃあ行かなくて良いでしょ!」
「まずどっちが大事とかそういうレベルの話じゃ無くてですね…」
こんな性格の彼だけども、力は普通の成人男性なわけで。
全力の力で抱き締められているから、どうにか離してもらわないと俺も身動きが取れない。
しかし乱歩さんは俺の腰に手を回し、嫌だ嫌だと譲らない。
…無理矢理振り解くことも出来る、けれど。
そうなると物凄く不貞腐れて 探偵社全体に迷惑を掛けるからなあ。
なるべく納得してもらないと、と思い、乱歩さんの頭を撫でる。
「仕事が終わったらお土産買ってきますから。ね?」
「お土産」。
そのワードに反応したのか少しだけ力が緩む。
「…駅前の洋菓子店の焼き菓子?」
「焼き菓子でも生菓子でもお望みの物買ってきますよ」
だから待っててくださいね、と声を掛ければ 腰から手を離してくれた。
「……分かった」
その言葉にホッと胸を撫で下ろす。
「ありがとうございます。…じゃあ、」
いってきますね、と言いかけた所で、ぱしりと手首を掴まれる。
「? …乱歩さ」
俺が名前を呼ぶ前に、乱歩さんは口を開けて。
次の瞬間には がぶり、と俺の手首に噛み付いていた。
「……っ、!?」
思わず顔を顰めて乱歩さんを振り解く。
手首を確認すれば、歯型の跡と ぷくりと滲んだ血の色。
慌てて乱歩さんを確認すれば、にこにこと笑っていた。
「Aが変な人に目付けられないように虫除け」
そう言って愛おしげに俺の手首を撫でる。
「お土産、楽しみに待ってるからね!Aが帰ってくるまで待ってるから」
「だから、今日は一緒に帰ろうね」
なんて、いつもと何ら変わりない態度で手を握ってくる。
……不要なくらい強い力で。
「早く帰って、来てね」
僕との約束だよ、と先程噛み付いた手首に口付けを落とされた。
…乱歩さんは依然としてニコニコとしているけれど。
何となく、奥の瞳は笑っていないような気がした。
"大好きな君から離れるなんて、不安で仕方ないんだ"
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007〜化ヶ狐〜さん、
リクエストありがとうございました!
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胡桃バター(プロフ) - りんごあめさん» リクエストありがとうございます!執筆までしばらくお待ちください (11月10日 1時) (レス) id: 55a2e79d32 (このIDを非表示/違反報告)
りんごあめ - 森さんとのお買い物デートが読みたいです! (11月3日 18時) (レス) id: bd46442a68 (このIDを非表示/違反報告)
マーガリン - ありがとうございます!! (2023年4月4日 8時) (レス) id: 7ba1c946a0 (このIDを非表示/違反報告)
胡桃バター(プロフ) - マーガリンさん» リクエストありがとうございます!慣れないキャラではありますが、精一杯書かせていただきますので、しばらくお待ちください。 (2023年4月3日 22時) (レス) id: ed4c5148d7 (このIDを非表示/違反報告)
マーガリン - 小栗さんのヤンデレってできますか? (2023年4月1日 8時) (レス) @page33 id: 7ba1c946a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:胡桃バター | 作成日時:2016年6月19日 22時