二話 ページ3
僕はその日もいつも通り、太宰さんが酒杯を指で弄んでいるのを彼の膝の上に座って見ていた。
氷は、何時もの様に綺麗に輝いていた。
この世界が、こんなに綺麗なら良かったのに、と一寸思う
太「やあ、織田作」
太宰さんが嬉しそうに云った。
カウンターに顎を載せていた僕は顔を上げた
「コンバンワ、織田作さん」
彼は手を掲げて太宰さんの隣に座った
バーテンダーが彼に何時もの酒を出す
織「何をしていたんだ?」
彼が訊ねた
太「思考だよ、哲学的にして形し上の思考さ」
織「それは何だ?」
太「世の中の大抵の事は、失敗するより成功する方が難しい。そうだろう?」
織「そうだ」
うん、と頷く
太「じゃあ私は自 殺ではなく、自 殺未遂を志すべきなのだ!」
「自 殺に成功するのは難しいけど、未遂を失敗するのは比較的容易い筈…と云った所ですか?」
太「その通り!!!」
太宰さんは嬉々として答えた
太「抑々君に何時も邪魔されてしまうし、この考えなら、私は夢を叶える事が出来る!!」
「僕に本気で頼めば何時だって殺してあげますけど?」
太「本当かい!?」
半分冗談で言ったのに、本気で喰いつかれて、若干…否、かなり引いた
「･･･考えて置いてあげますよ」
織「確かに、容易いかもな」
織田作さんは律儀にもそう答えた
太「矢張りそうだね!我発見せり!早速試そう。マスター、メニューに洗剤ある?」
マ「ありません」
バーテンダーが杯を拭きながら答えた
太「洗剤のソーダ割りは?」
マ「ありません」
太「ないのかあ」
織「なら仕方ないな」
「･･･抑々、メニューに洗剤があるお店があるなど聞いたことがないのですが…織田作さん、あります?」
織「ない」
「ですよね、あれじゃないですか？裏メニューにあったりして。あります？」
マ「ありません」
「でも店に洗剤はあるよね?」
マ「それは、あります」
太「じゃあそれを売っておくれよ!!」
マ「売り物ではないので」
「それと太宰さん、洗剤じゃあ死ねませんよ」
太「そうなのかい？…また失敗したのかあ…」
彼は心底残念そうに溜息をついた
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幸祐 - ネムムさん» 指摘、ありがとうございます。 (2017年3月9日 13時) (
レス) id: 7384e0d041 (このIDを非表示/違反報告)
ネムム(プロフ) - 続編おめでとうございます。前作・今作共にですが、オリジナルフラグを外してくださいね。 (2017年3月3日 17時) (レス) id: 2bd2d16489 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：幸祐 | 作成日時：2017年3月3日 17時
