検索窓
今日:22 hit、昨日:21 hit、合計:42,546 hit

ページ9




迷い込んだ彼…中島敦さんは、不思議な人だった。

ううん、不思議と云うより 見てて面白い。
反応が毎回大きくて、楽しい人。


「Aさんは、」

『さん付けしなくて大丈夫、敬語も要らない』

「う、うん。分かった。えっと…Aちゃんは 何歳なの?」


……分からない。
気付いた時には此処にいて、藍弥様に仕えていたから。
幼い時なんてあるのか、という程に記憶が真っ白。

あるのは 藍弥様のお仕事を代わりに片付けている時とこの街を見守っている時、あと樒と遊んでいる時の記憶だけ。

家族がいるのかも分からない。


『…分からない。記憶もあまりないから』

「そうなんだ…」

彼の纏う雰囲気が暗くなった。
屹度、触れてはいけない事に触れたと思っているんだろう。

こんなにコロコロと表情が変わるのを見ていると、もっと揶揄いたくなる。


『ねぇ、中島敦さん』

「はい、何ですか?」

『敬語』

「あっ、ごめん…慣れなくて」

『いいよ、大丈夫』


矢っ張り、楽しい人だ。


『貴方は、元の場所に戻ったら もう此処には来ない?』


だから、離れるのは寂しい。
今迄 此処に来た人は 大体ボロボロだったから、お話もできなかったし 治療をしたすぐに戻してた。

でも、彼は違ったから。

もう少し色んな事を話したい、そう思った。






『貴方は、元の場所に戻ったら もう此処には来ない?』


そう云う彼女の声色は 寂しさの滲んだものだった。


「…してもいいなら、また会いに来たいな」

『ほんと…!』

「うん。もしAちゃんが良ければ、僕の仕事場の人も連れて来てもいいかな?みんな、いい人たちなんだ」

『うん…っ!絶対 きてね!約束、だからね…!』


先程とは別人のように 頬を仄かに紅潮させて、瞳を輝かせて云う。
表情はあまり変わらないけれど、喜んでいるのは確かだった。

玖→←漆



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (62 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
46人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 月瀬さん» そう仰って頂けて何よりです。最後の感想失礼致します(よ、良かったです…、しょうもない案では有りますが使用して遣って下さい←← ませ。長文失礼致しました。若し何か御座いましたらボードで御知らせ下さいませ) (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - 七海@返事・更新滞りますさん» 楽しそうです!え、書きたい…!← (2020年1月5日 17時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 月瀬さん» いえいえ。二回目失礼致します。(そうですねぇ…。在り来りかも知れませんが……『泥棒』系統の噺何か如何ですかね…?(本当、この位しか出なくて済みません……)) (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - 七海@返事・更新滞りますさん» ありがとうございますー!是非案ください! (2020年1月5日 17時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 完結、御目出度う御座います…!(もう最後の最後迄、度肝を抜かれっぱなしでした…!案……出しても良いのなら、出してみたい所存なのですが…如何でしょうかね…??)長文失礼致しました。 (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まふ | 作成日時:2019年12月6日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。