【文スト】鈴の音が鳴る時

肆拾肆 ページ45

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時というものはあっという間に過ぎるもので、あの件(・・・)から 一ヶ月が経った。

今日も私は境内の掃き掃除をして、自分の頬を撫でる冷たい風に 身を強ばらせる。


前と殆ど変わりない日常。

けれど その小さな変化は私にとっては大きいモノだ。


まず、一つ目。


｢A、窓拭き終わったよ｣


藍弥様は放浪の旅を止めて、この神社で日々を過ごすようになった。
今日もこうして掃除を手伝ってくれている。

……料理は苦手らしく 任せていない。
住むところが焼けるのは勘弁して欲しいから。


そして 二つ目。

『じゃあ 準備を始めましょうか』

｢そうだね。そろそろかな？｣

『はい、もう直ぐ…』



─ シャラン ─



｢A、ケェキ買ってきた｣

｢お久しぶりです、藍弥様｣

『いらっしゃい、二人とも』


こうして、二人がよく遊びに来てくれるようになった。

武装探偵社さんは忙しいみたいだけれど、休みの日や依頼の帰りの日は よく他の社員さん達とも来てくれる。


私の知らない現代の事を沢山教えてくれて、
皆さんが遊びに来る事が 日々の楽しみでもあった。


そして最後。


｢Aちゃん髪に葉っぱついてるよ｣

『えっ、何処？』

｢少し待ってね…………よし、取れたよ｣

『うん、あ、有難う』


敦が近くにいたり笑ってくれると 顔が少し熱くなって、鼓動が早くなる様になった。

こんな事はなった事がないから、少し不安。


藍弥様や他の神様にも聞いたけど 皆さん口を揃えて ｢何時の日か分かるよ｣ と、楽しそうに笑って言う。

でも この感覚は嫌な気持ちはしないから……。
続いてもいいかもしれない。


そんな事を思いつつ、今日も色んな話をしながら 甘味を食べながらお茶を啜る。

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