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卅参 ページ34




其処からはあっという間だった。

彼女よりも立場が下の藍弥様にお仕えし、夜を司る方の従者として 役目を熟す日々。


そんなある日。
私の元に文が届いた。

白露様からだ。

綺麗な文字で綴られた文章を読んでいく。


挨拶や近況を尋ねる言葉から始まり、段々と本題に移っていく文章。

簡潔に纏めるとこうだ。


─貴女に大切なお話があります。出来るだけ早く、私の元にいらして下さい。


との事。

別に断る理由も無い為、近況を綴った文章と了解の意を込めた文を返し
夕食の支度へと移った。


─────
───


「久しぶりね、A」

『お久しぶりです、白露様』


彼女の御屋敷へと招かれ、彼女の部屋へと通された。
お香が焚かれた良い匂いがする和室。

装飾の施された座椅子に腰かけ、私を見つめる瞳は あの時と変わらない……
真意の読み取れない瞳だった。



「うふふ、そんなに身構えないで頂戴な。なにも 取って食べたりしないわよ。」

『はい…』


肩の力を少し抜きつつ息を吐き出し、目を合わせた。


『お話、というのは……?』

「お話と言うより…お願いなのよねぇ」

『お願い……と、申しますと?』


うふふ、と妖艶に微笑み 白い指で自身の髪を弄った。


「私ね、美しく居るのがとても好きなの」


"美しく居る" と言うのは良く分からなかったけれど、白露様が綺麗なのは頷ける事。
十人に聞けば、十人が美しいと返すだろうその容姿だ。

けれど 何か含みを感じる言い方に、私は違和感を覚えた。


『…白露様は、美しくいらっしゃいます』

「有難う。けれど コレ(・・)を保つのも大変なのよぉ。そして それなりの代償も伴うわ」


─ "代償" ─


その言葉は 心にズン、と重い衝撃を与えた。

この方は、何かを犠牲にして美しさを獲ているのか。
…そう、想像した私は 指先が小さく震えているのが分かった。

卅肆→←卅弐



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七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 月瀬さん» そう仰って頂けて何よりです。最後の感想失礼致します(よ、良かったです…、しょうもない案では有りますが使用して遣って下さい←← ませ。長文失礼致しました。若し何か御座いましたらボードで御知らせ下さいませ) (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - 七海@返事・更新滞りますさん» 楽しそうです!え、書きたい…!← (2020年1月5日 17時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 月瀬さん» いえいえ。二回目失礼致します。(そうですねぇ…。在り来りかも知れませんが……『泥棒』系統の噺何か如何ですかね…?(本当、この位しか出なくて済みません……)) (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - 七海@返事・更新滞りますさん» ありがとうございますー!是非案ください! (2020年1月5日 17時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 完結、御目出度う御座います…!(もう最後の最後迄、度肝を抜かれっぱなしでした…!案……出しても良いのなら、出してみたい所存なのですが…如何でしょうかね…??)長文失礼致しました。 (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まふ | 作成日時:2019年12月6日 22時

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