卅参 ページ34
▽
其処からはあっという間だった。
彼女よりも立場が下の藍弥様にお仕えし、夜を司る方の従者として 役目を熟す日々。
そんなある日。
私の元に文が届いた。
白露様からだ。
綺麗な文字で綴られた文章を読んでいく。
挨拶や近況を尋ねる言葉から始まり、段々と本題に移っていく文章。
簡潔に纏めるとこうだ。
─貴女に大切なお話があります。出来るだけ早く、私の元にいらして下さい。
との事。
別に断る理由も無い為、近況を綴った文章と了解の意を込めた文を返し
夕食の支度へと移った。
─────
───
─
「久しぶりね、A」
『お久しぶりです、白露様』
彼女の御屋敷へと招かれ、彼女の部屋へと通された。
お香が焚かれた良い匂いがする和室。
装飾の施された座椅子に腰かけ、私を見つめる瞳は あの時と変わらない……
真意の読み取れない瞳だった。
「うふふ、そんなに身構えないで頂戴な。なにも 取って食べたりしないわよ。」
『はい…』
肩の力を少し抜きつつ息を吐き出し、目を合わせた。
『お話、というのは……?』
「お話と言うより…お願いなのよねぇ」
『お願い……と、申しますと?』
うふふ、と妖艶に微笑み 白い指で自身の髪を弄った。
「私ね、美しく居るのがとても好きなの」
"美しく居る" と言うのは良く分からなかったけれど、白露様が綺麗なのは頷ける事。
十人に聞けば、十人が美しいと返すだろうその容姿だ。
けれど 何か含みを感じる言い方に、私は違和感を覚えた。
『…白露様は、美しくいらっしゃいます』
「有難う。けれど
─ "代償" ─
その言葉は 心にズン、と重い衝撃を与えた。
この方は、何かを犠牲にして美しさを獲ているのか。
…そう、想像した私は 指先が小さく震えているのが分かった。
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七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 月瀬さん» そう仰って頂けて何よりです。最後の感想失礼致します(よ、良かったです…、しょうもない案では有りますが使用して遣って下さい←← ませ。長文失礼致しました。若し何か御座いましたらボードで御知らせ下さいませ) (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - 七海@返事・更新滞りますさん» 楽しそうです!え、書きたい…!← (2020年1月5日 17時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 月瀬さん» いえいえ。二回目失礼致します。(そうですねぇ…。在り来りかも知れませんが……『泥棒』系統の噺何か如何ですかね…?(本当、この位しか出なくて済みません……)) (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
月瀬(プロフ) - 七海@返事・更新滞りますさん» ありがとうございますー!是非案ください! (2020年1月5日 17時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
七海@返事・更新滞ります(プロフ) - 完結、御目出度う御座います…!(もう最後の最後迄、度肝を抜かれっぱなしでした…!案……出しても良いのなら、出してみたい所存なのですが…如何でしょうかね…??)長文失礼致しました。 (2020年1月5日 17時) (レス) id: 94153de35f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まふ | 作成日時:2019年12月6日 22時