【文豪ストレイドッグス】太宰治と狼少女2【太宰治】

探偵社にて ページ1

《side敦》


「この男には会うな。会ったら逃げろ」





そう言った国木田さんの持っている一枚の写真には、全身黒ずくめの男が立って居た。


「それともう１つ」と、前置きを置いてもう一枚の写真を取り出す。






「この女は…」
「充戯A」





太宰さんの声が国木田さんを遮った。





「太宰さん、知り合いなんですか？」


「もう何年も会って居ないけどね、私の誰よりも大切な人だよ。」


「でも敵なんじゃ…？」


「やめとけ、小僧。いくら問いただしても「大切な人」としか言わんのだ。」






国木田さんには太宰さんに問いただした前科があるらしい。


ふと写真に視線を移す。

そこに写っている女性は、今まで見たことがないくらい美しく、その瞳には果てのない虚無が写って居た。






「こんな綺麗な人が…危険なんですか？」



「この女はポートマフィアの狼と恐れられた。

だが、数年前から姿を消している。現在の素性は知れんが、こいつに狙われて生きているものは存在せん。

異能力の最強は不明だが、幻覚を見せるのが主な力だと聞いている。

だがその幻覚は相手の心を大きく抉る。その力は精神操作の異能力にも匹敵すると言われている。」






今にも動き出しそうな写真を見ていると、不意に太宰さんが空中を見て少し寂しそうな顔をしていることに気がついた。


もちろん僕には声をかける勇気なんてなく、その話は終わってしまったのだ。

空間断絶→

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