番外編、if失恋太宰さん3 ページ48
『前から少し思ってたんです。私、太宰幹部に誘導されてないかって。中原さんとうまくいかなかったわけではないけど、もっと別の立ち回り方の方がよかったんじゃないかって思ったこと、何度かあったんです』
気づいていたのか。隠してたつもりだったのに。冷や汗が背中に流れた。
『太宰幹部、もう大丈夫です』
彼女が私から離れていく。
『相談は、もうこれで最後にします』
待ってくれ、私から離れないで。
『今までありがとうございました』
身体が動いたのは、彼女がドアノブに触れてからだった。Aちゃんの腕を掴む。Aちゃんは驚いたようにこちらを見上げた。
『離してください。私、もう行かないと』
「いやだ」
『でも、この後用事があって』
「嘘。君の予定は把握している」
なんで……？Aちゃんは怯えたように尋ねた。何でってそれはもちろん＿＿＿＿。
「君とたくさん話したいから、緊急の仕事や用事がないときに話しかけていた。ここ一年、ずっと君のことを調べていた」
『どうしてそんなことをするんです！？』
「君が好きだからだよ。どうしようもないくらい。本当はもっとちゃんとした形で告げるつもりだったのになぁ」
顔を赤らめてくれたらいいな。そう思ってAちゃんの顔を見ると、涙を流していた。嬉しいからではない。恐怖からくるものだった。
「泣かないでよ。怖がらせたくて云ったわけじゃないんだ」
Aちゃんに手を伸ばす。しかし、弱々しい表情に合わないくらい強い力で弾かれた。
『貴方、狂ってますよ。普通はこんなことしませんよ！』
「………え？」
『私、これからは太宰幹部とは距離を置くことにします』
「………そんなの許されないよ」
絞り出すように擦れた声で呟いた。Aちゃんの目には、私に対する敵意がありありと浮かんでいる。それが心苦しい。でもそれ以上に怒りだとか悲しみだとか、そういうよくわからない感情で頭がいっぱいだった。
「Aちゃんは中也を選ぶの？私の方が君のことをよくわかっているし、君に寄り添えられる。
＿＿＿＿中也が君の何を知っているというんだい？好きな食べ物や趣味は知ってる？誕生日は？私は君の生 理の周期だって、出生時体重だって、家にある小説の冊数だって、全部調べた。知らないことはないよ」
そこまで一息で云い切った。もうAちゃんの目には敵意はない。その代わりに恐怖からくる私に対する拒絶がはっきりと見えていた。
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雷牙 - 口角が天井に刺さった (4月13日 21時) (
レス) id: 93fa3720ae (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 黒猫もふお さん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです！ (8月19日 13時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品をありがとうございます！すごく面白かったです！ (8月19日 12時) (レス) id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - りおさん» ありがとうございます！界隈が違うのに読んでくださって嬉しいです！更新頑張ります！ (2023年3月16日 19時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！キャラクターのことよく知らなかったけど読んでみてめちゃめちゃ面白かったですっ！！素敵な作品ありがとうございます！更新頑張ってください！ (2023年3月16日 19時) (レス) @page29 id: 67c8df008b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橘たまき x他1人 | 作成日時：2022年3月17日 7時
