最終話 ページ39
目を覚ますと、そこはベッドの上だった。上半身を起こす。身体のいたるところに包帯が巻いてある。あの後中原さんに運ばれたのだろう。
周りを見渡しても誰も居ない。まだ意識がしっかりしないし、もう一度寝ようと身体を横にしようとした時だった。扉がガラガラと音を立てて開く。
「あ、西崎起きてたのか」
『中原さん……』
中原さんは近くにあった椅子に腰掛ける。
『あの、今日は迷惑をかけてしまってすいません』
「今日？＿＿＿嗚呼、一昨日のことか」
中原さんのふとした言葉に驚かされた。もう二日も経っていたのか。
「それに、もう他所々々しいのは無しだ」
中原さんが手を伸ばす。首に冷たい何かが当たった。
「西崎がこれ付けてくれていたって聞いて、すげえ嬉しかった」
中原さんがネックレスの装飾部分を掬い上げてそう云った。
「なあ、お前が好きだ＿＿＿A」
流れる様に云った言葉。それが少しずつ重みを帯びて、甘く頭の中で溶けてゆく。
「ずっと前からそうだった。お前が、Aが好きだった。だが、俺のせいで先日みたいなことがまた起こるかも＿＿＿＿」
『中原さん』
中原さんの言葉を遮る。彼は私の目をじっと見つめていた。
『私のことは貴方が守ってくれるでしょう？それに、貴方の側に居られるなら、そんなことどうでもいいです』
「おい、それって……」
『私も大好きです、中也さん』
そう云った瞬間、中也さんに抱きしめられた。彼の背中に手を回す。胸が暖かくて満たされる。
「一生お前を離さない」
『私も、何があっても中也さんから離れません』
＿＿＿＿ねえ、中也さん。
背に回していた手をそっと離し、身体を優しく押し返す。中也さんの身体がゆっくり離れる。
『中也さん』
彼の頬に触れる。
中也さんは私の頬を包むように触れる。段々と私と彼の距離が小さくなる。目を閉じる。数秒後、やっと待ち焦がれていた感触が唇にした。
そっと唇を離す。
『中也さん、大好きです』
「俺も＿＿＿、愛してる」
＿＿＿＿胸元でネックレスが煌めいた。
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雷牙 - 口角が天井に刺さった (4月13日 21時) (
レス) id: 93fa3720ae (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - 黒猫もふお さん» コメントありがとうございます！面白いと言っていただけて嬉しいです！ (8月19日 13時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫もふお - 神作品をありがとうございます！すごく面白かったです！ (8月19日 12時) (レス) id: 9c4f5ea239 (このIDを非表示/違反報告)
橘たまき(プロフ) - りおさん» ありがとうございます！界隈が違うのに読んでくださって嬉しいです！更新頑張ります！ (2023年3月16日 19時) (レス) id: e2eb5250a2 (このIDを非表示/違反報告)
りお(プロフ) - イベント参加ありがとうございます！キャラクターのことよく知らなかったけど読んでみてめちゃめちゃ面白かったですっ！！素敵な作品ありがとうございます！更新頑張ってください！ (2023年3月16日 19時) (レス) @page29 id: 67c8df008b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：橘たまき x他1人 | 作成日時：2022年3月17日 7時
