白に届かぬ手 ページ9
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Aは 窓から 夜空に輝く星を見ている。
あればこぐま座、あっちは水瓶座と 太宰の膝の上腕の中に収まって 指を差して楽しそうに眺めている。
太宰は その様子を愛おしげに見つめ乍、優しく抱きしめている。
ふと、Aが呟く。
『だざいー……お月さまには、とどかない?』
「そうだねぇ……遠いから」
『真っ白で、綺麗だから……もっと近くで見れたらいいのに…』
分かってはいただろう返答に、やはり肩を落した。
小さな手を空へと伸ばすものの、何も掴むことはなく空を切る。
そして太宰は 月に何を重ねたのか、相変わらずの闇が秘められた瞳の奥には 何処か寂しげな色が滲んでいた。
「(真っ白で綺麗、か……)」
『だざい…?』
「……あぁ、何でもないよ…」
『そう…大丈夫…?』
その質問に返答する事はなく、また優しく髪を撫でた。
白、綺麗…等、自分とは正反対だと 自嘲気味に笑う。
ならば、どうしたらAに自分の汚れた部分を見せないで過ごせるか……
其の方法ばかりを考えていた。
「(私は罪深い人間だ……この世から消え去ってしまいたいと願ってもタヒねず、Aちゃんを闇の世界に置いている。……欲深くもある、か…)」
その時、一筋の光が空を横切った。
流れ星だろう。
『だざい!みた!いまね、ながれ星があったの!』
「ふふ、お願いごとをしなくてはだね」
『うーん……何にしよう…』
Aは長く思案した。
願いならば沢山ある、数え切れないほどに。
そして 決まったのか、手を握り 空へ祈りを飛ばす。
「何でお願いしたんだい?」
『んとね…ずっと、いまがつづきますように…って』
少し意外な願いに驚きつつも、太宰は微笑む。
「そう……叶うと、良いね」
『うんっ…!』
太宰はAがまた空に視線を戻すと
その刹那、瞳に暗い闇と欲を宿した。
「(叶えてあげるさ……君が願うのなら、この今の日々を永遠に…)」
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紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» 太宰治様ですね(*^□^*) 了解です(*´∀`)♪ (2021年8月24日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
まふ(元月瀬)(プロフ) - 追記しましたがお相手だざさまですー (2021年8月22日 22時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» じゃあ、中也様が孤児の幼女主を拾い、その日以来すっかりシスコンで、デレメロのをお願いします(v^ー°) マフィア全員の癒しです、勿論探偵社もです(〃ω〃) (2021年1月23日 11時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
まふ(元月瀬)(プロフ) - 紅月ミレーさん» ありがとうございました♪紅月ミレーさんには初期からお世話になりました、ありがとうございます。作品はまだ決めた無いので絶対に作れるとは言いきれませんが、もしご案があるならお聞きしたいです♪ (2021年1月23日 10時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» 黒太宰治様と夢主ちゃんの、二人きりの結婚式滅茶苦茶良かったです(〃ω〃) 最終回で寂しいですが、此れからも頑張って下さいね(o^−^o) あ、リク作品は有りですか(´・ω・`)? (2021年1月21日 21時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まふ | 作成日時:2020年6月30日 20時