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御髪彩る独占欲 ページ11





サラリと、前よりも伸びた髪が風に揺れた。
邪魔そうに耳にかけつつ、風が吹くとまた元通り。


『じゃま…』

「ふーむ……私は風に揺れるのを見ているのも、綺麗で好きなのだけれど」


太宰はそう言いつつ、引き出しの中を探った。

その間、Aは鬱陶しそうに髪をいじっている。
結ぼうか?いや、いっその事切ってしまおうか。

そう考えていると、太宰から声がかかった。


「Aちゃん、おいでおいで」

『?うん…』


いつもの如く膝の上へ。

太宰は手櫛で軽く整えてから、器用に髪をまとめていく。
時折首筋に当たる手が擽ったくて、Aは小さく くすくすと笑いを零した。

し終わったのか 手が離れる。


「どうぞ、お嬢さん」

『わぁっ…』


渡された手鏡で確認すると、綺麗に髪は纏められて 紅鶸色(べにひわいろ)のリボンで結ばれていた。
普段の太宰なら ピンク等、Aが好きな可愛らしい色を選びそうなものだが 今回は違った。

何処か見覚えのある色だと思い、Aは辺りを見渡し 後ろの太宰にも目をやった。


『おんなじ…!』


そう、太宰のストールの色である。


「ふふ、お揃いだよ」

『うん、おそろい…!』


太宰は喜ぶAの頭を優しく撫で、微笑む。
髪を指で一束掬うと、軽くキスをした。

男性からの髪へのキスの意味は、五つ程あるとされている。
触りたい、構って欲しい、我慢している、愛しく思っている……等。太宰ならば全て当てはまるだろうが 1番はその最後。

独占したい

この一択だ。


彼の独占欲は強い。
それは、長い付き合いである 中原や尾崎達が危惧する程に。

けれど、その独占欲をAは欲していた。


『(おそろい、また増えた…)』


愛おしげにリボンを撫で、微笑む。

この独占欲こそが 不安定である精神を落ち着かせ、また 2人の依存や愛は深まるのだ。

甘い想いは溶けていく→←水と無知



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紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» 太宰治様ですね(*^□^*) 了解です(*´∀`)♪ (2021年8月24日 18時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
まふ(元月瀬)(プロフ) - 追記しましたがお相手だざさまですー (2021年8月22日 22時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» じゃあ、中也様が孤児の幼女主を拾い、その日以来すっかりシスコンで、デレメロのをお願いします(v^ー°) マフィア全員の癒しです、勿論探偵社もです(〃ω〃) (2021年1月23日 11時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)
まふ(元月瀬)(プロフ) - 紅月ミレーさん» ありがとうございました♪紅月ミレーさんには初期からお世話になりました、ありがとうございます。作品はまだ決めた無いので絶対に作れるとは言いきれませんが、もしご案があるならお聞きしたいです♪ (2021年1月23日 10時) (レス) id: 9a5360aa7e (このIDを非表示/違反報告)
紅月ミレー - まふ(元月瀬)さん» 黒太宰治様と夢主ちゃんの、二人きりの結婚式滅茶苦茶良かったです(〃ω〃) 最終回で寂しいですが、此れからも頑張って下さいね(o^−^o) あ、リク作品は有りですか(´・ω・`)? (2021年1月21日 21時) (携帯から) (レス) id: a496965e6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まふ | 作成日時:2020年6月30日 20時

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