【文スト】霊感持ちの異能力者は毎日大変です。

月光に照らされ ページ33

＊

毒々しい程に紅い花々は 風に吹かれて少し揺れる。

美しく咲き誇る彼岸花。


夕日に照らされ、より一層輝いているように見えた。

『綺麗…』


ぽつり、と零れたその言葉は
吹いた風に掻き消され 其の儘空間に溶けて行った。


*＊*＊*＊*

翌日の夜も私は来ていた。


本当はもっと早くに来る筈だったけど、太宰さんの残した仕事を片付ける羽目になって遅くなってしまった。


今夜は満月。

木々の合間から見える月は紫帯びていて
何処か神秘的な雰囲気を放っていた。


彼岸花の咲くあの場所へと辿り着く。

けれど其処には先客の姿。


艶やかな浅緋色の髪に 美しい着物。
白い肌は月光により 一層輝きを放っている。

その人の名は尾崎紅葉。
ポートマフィア五大幹部 異能力『金色夜叉』の使い手である。


『尾崎さん…』

｢おや、まふかえ……わっちの事は"姐さん"と呼ばぬか｣

『あ、はい。姐さん…その、此処 知ってたんですか？』


近くに歩み寄り、彼岸花を眺めながら聞く。


｢前に中也が偶々見つけてのう…綺麗だから、と教えてくれたのじゃ｣

夜だから いつもの番傘は閉じていて、降り注ぐ月光が
姐さんの髪の緋と彼岸花の紅を輝かせる。


『綺麗ですね…』

｢嗚呼……じゃが、こんな美しい花でも毒を持っておる。｣


綺麗な花には棘があるとはよく言ったのもで、
今まで関わった太宰さんの元恋人？愛人？も 見た目はとても美しいけれど、中身は皆さんかなり強烈だった……(訳:怖かった)


『確かに、毒々しい程 鮮やかな紅色ですね』

暗い森の開けた草原に咲く彼岸花。
それは神秘的な美しさ。

｢因みに、曼珠沙華とも言うのじゃぞ｣


何処か凛とした綺麗な名前を頭に入れる。




彼岸花の花言葉

赤 ・・・ 『情熱』 『独立』 『再開』

白 ・・・ 『思うあなたは一人』 『また会う日を楽しみに』

黄 ・・・ 『追想』 『深い思いやりの心』 『悲しい思い出』

毒々しい程に紅く染まる→←歩いた先の景色

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