【文スト】霊感持ちの異能力者は毎日大変です。

本能 ページ18

中島 side


ポートマフィアの人の肩に "ナニカ"が視える。

本能が警報を鳴らしている。



"目を合わすな"



ソレから視線をずらして Aちゃんの方を見ると、Aちゃんの顔は青ざめていた。

その顔を見て分かった。



敦 ｢…だめだ………｣



無意識に 口から零れた言葉。



何かを考えるよりも先に 体が動いた。



立ち尽くしていたAちゃんの手首を掴んで
その場から逃げ出す。


『っえ…！？』


中 ｢オイ、待て！｣



ポートマフィアの人の声が後ろから聞こえるが
僕の耳には届かなかった。



ただ一心不乱に 走った。




周りの目も

Aちゃんの声も

方向も



何も考えず ただ走った。







『っ…敦！』




僕の腕が後ろに引かれた。




＿ドサッ＿＿


敦 ｢……え？｣




気付くと僕は Aちゃんに抱き締められていた。



敦 ｢…？？？｣



Aちゃんの体温が
僕の動転していた心を落ち着かせてくれる。



『敦』



Aちゃんに名前を呼ばれる。


敦 ｢え、あ、あの｣

『よしよし、いい子いい子』




………………？？？？？



何故か頭を撫でられた。




『…怖かったでしょ』

敦 ｢……うん｣



Aちゃんは 撫でる手を止めない。



『私 怖くて動けなかった』


俯いて顔は見えないけれど 声が沈んでいる。


『だから、手 引っ張ってくれてありがとう』




ぽんぽん、と僕の頭を撫でて
Aちゃんは 体を離した。




僕も何か言おうとしたが 誰かの声に遮られた。



中 ｢見ぃつけた｣



ポートマフィアの人が後ろから蹴ってきた。

スレスレで躱して その人に向き合う。




敦 ｢貴方は……………………。｣


中 ｢何だよ！？｣


敦 ｢…………ごめんなさい、お名前知りません。｣


中 ｢はァ……？｣




実は 初対面。
太宰さんは 『蛞蝓』『チビッ子マフィア』
乱歩さんは 『素敵帽子くん』
与謝野女医と国木田さんは 『重力使い』


名前で読んでいるところを聞いたことがなかった。



中 ｢ﾁｯ……中原中也だ。手前の名前は？｣

敦 ｢へ？｣


予想外の質問に 間抜けな声が出た。


中 ｢手前、"人虎"つったら 嫌な顔してただろ。俺は糞鯖みてぇに そんな顔を見て喜ぶ趣味は無ぇからな｣


『要するに、気遣ってるんだね』


中原さんは ガシガシと乱暴に髪を掻きながら目を逸らす。




………………若しかして…いい人……？

思ったよりも→←このタイミングでかよ……

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