初めましてのメェメェメェ。【文スト 青時代 中原中也】

三十二匹 ページ40

ノーサイド

狼、ポートマフィア共にとある噂が流れた。
『狼の頭領、志信神火が変』

何とも失礼な話だが彼らの中の神火は髪はボサボサ服も適当、口は悪い。そして誰にでも平等で苦手なものは嫌、という正直な上司なのだ。
狼もポートマフィア関係なく部下に慕われていた神火。
彼女は今、きっちりとスーツを着こなし髪をまとめあげ丁寧な言葉で話、偲粋と裂魔、首領とのみ言葉を交わす人間へと変貌していた。

そんな変わり様、噂にならない方がおかしいのだ。
そしてそれは任務にも支障を来し出した。

「ここ、凡ミスがあるよ?」
「す、すいません……」
「言いたいことはわかるけど……主を気にしすぎだよ?」
「自分……ショックなんです。今まで主は……下らない話でも…」
「そこ、手を止めるな。森さんに出す書類が遅れる」
「ご、ごめんなさい主」
「すいません……」

話していた偲粋と部下。
其所に注意したのが神火。

こんなことが続いて部下は精神的に疲弊していた。

「……僕が何とかするから、みんなもう少し頑張って!」
「「「「うっす!!」」」」

偲粋はある覚悟を決めた。
ーーーーーーー
〜首領室〜


「森さん!あいつら使えないんだけど!!」
「どうしたんだい?太宰くん」
「あいつら!なんか急に泣き出したりとか神火が通る度に固まったりとか!」
「思ったよりも影響がでかかったようだね……」

コンコン

「入ります」

入ってきたのは中也……と哉。

「リンタロウさんだ!今日のお仕事何?」
「少し待ってくれるかい?」
「はーい!」

哉は見違えるほどきれいな女の子だ。
元気よく返事をしたら衣装部屋へと引っ込む。

「さて中也くん。君もこの異変について感じているだろう?」
「部下の様子が可笑しいこと……ですか?」
「え?まさか中也……理由知らないの?」
「はぁ?何言ってんだ包帯。俺がそんなの知ってるわけねえだろ」
「ねえわけねえからよんでんの」
「神火くんだ。」

神火呼びから君づけになった。

「……?そう言やぁこの一ヶ月ほど彼奴に会ってないです」
「君が命令したからだよ」
返事があったのは後ろ。

ドアに凭れた偲粋だった。
その目には黒々とした隈が浮かんでいる。

「偲粋?!お前……大丈夫か?!」
「君の!……中原さ……中原のところへ主……神火が行った時……」

しんと静まったへや。ただ響くのは偲粋の苦しそうな声。

「神火の隈はもっとひどかった」

中也のかおが歪んだ。

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