1番遠くて1番近い人

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遺書なども見つからないままだが、ひとまず事件性はないと考えられる。





そう告げられたのは1週間ほど経ってからだった。





文一は学校を休んだりもせず、今までと何も変わらずに過ごしていた。





あの夜、ごめんな、とだけ言うとまるで龍太に心配かけまいとするように微笑んで家に帰った。





とある日の帰り道。





龍太が高校の前で待っていると、高校生の話が聞こえてきた。





「あいつの母親亡くなったってほんまらしいな」
「そうらしいな。でも遺書はないらしいで」
「かわいそうにな、きっとなんもかんも嫌になったんやろ」
「あいつもなんや性格暗いしな」
「目立った友達もおらへんし」
「父親も厳格な人らしいで。旦那も子供もって大変や」





胸がキュッと締め付けられる気がした。





性格暗い？そんなんやない、ちょっと人付き合いが苦手なだけ、人見知りなとこがあるだけ、そんだけや。





そんな人くらい、他にもたくさんおるやろ。





苦手なことの3つ4つ、誰でもあるやろ。





大声で叫びたかった。





でもそんな勇気なんか無くて。





文一のことをちょっと気にして。





ここんとこ、元気無いなとは思ってたけど。





もしかしたら、周りの目が辛いんかな。





文一くんのことやから聞いても答えてくれへんか。





でも知りたいな。





ほんまにそうなんかもわからんけど。

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