1番遠くて1番近い人

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諦めの悪いやつ。





どこまで関わるつもりや。





もう俺は限界やねん。





ごめんな、って気持ちはある。





でも、生き続けるのが正解なんやろか。





遺書に主犯のやつらの名前を書いてれば。





せめてもの復讐になるやろ。





「はぁ」





龍太のため息、珍しい。





「ため息ついたら幸せ逃げるで」





「そんなもん吸ったらええねん」





大きく息を吸う。





ほんまに吐いた幸せ吸うんやな。





「文一くん、言いたいことはわかったから。でも、あと4日待ってくれへん？」





「あと4日？」





「金曜日まで」





学校行かなあかんってことか。





でも、あと4日なら。





「その間に考え直してほしい」





「4日な。金曜日まで」





「その間は、夜 一緒にいよう。俺の家きて」





「わかった」





「約束な？」





「あぁ。約束」





あと4日で消えるんや。





そう考えると恐ろしいな。





それも自分で、なんて。





怖い。





数字にすると、怖く感じるようになるんやな。





実感がわくから。





ほんまに消えるんや。





俺のことを覚えてくれてる人なんて、龍太くらいになるんや。





みんな忘れるやろ。





必然的に。





いや、わざと。





俺はなかったことにされるんや。





生きてる間も存在を否定され、死んでからも無にされる。





なんのために生まれてきたんや。





誰かの役にたったこともないのに。





「文一くん、もう寝よ。明日も学校やったわ」





「あぁ」





龍太は、俺のことどう思ってたんかな。





今さらすぎるけど、やっぱり気になる。





弟みたいな、そんな関係だったのに。





1番近くにいたのに。





俺に対する気持ちはさっぱりわからへん。





心の距離は1番遠かったみたい。





いや、そーでもないのか。





どこか遠ざけてた。





俺が一方的に。





龍太のこと、知ろうとしてへんかった。





俺はどんな風に見られてた？





2人で寝転ぶと、龍太はこっちを向いて目をつぶる。





心が読めたらな。





寝顔 見たこともたくさんあるけど、相変わらずかわいいな。





無邪気で。





生きてる間に、ちょっとは幸せにできたんかな。





大切にできたかな。





傷付けたりしてないかな。





いや、きっとした。





それでも、ついてきてくれた。





もし、1つだけ願いが叶うなら。





ずっと龍太と2人きりで生きてたかった。

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