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近付いてくる5人。
「浜中お前友達おんのやな〜」
「友達ちゃうやろ、つきあいみたいなもんちゃうか?」
馬鹿にしたような口調でちゃかす。
いつもみたいにただただ恥ずかしかった。
なんも言い返せない、下を向くだけの自分が嫌でもわかってしまう。
距離はもう約5m。
3m
2m
1.5m。
「文一くんっ!」
さっきとは全く違う怯えたような表情で俺の腕にしがみつく。
「お前学校どこや」
龍太に向かって吐き捨てる。
「〇〇中学です…」
「中学生やって」
「そんな子に相手させとんのか」
「やっぱり友達は選ばなあかんで?」
「他に友達おるやろ、学校とかでも」
まるで俺から離れろとでも言うようにさとすような口調。
「お兄さんたち、誰ですか?僕、別にお金とか持ってないんで」
消え入りそうな語尾。
不良絡まれた中学生の図があっという間に出来上がる。
龍太って演技派やったかな?
発表会とかも恥ずかしそうにしてたあの龍太がな。
「別にそんなヤンキーちゃうで?w」
「金銭巻き上げやないってw」
「こいつのクラスメートや」
思いがけない返しに笑っている。
「えーっと、なんか用事ですか?」
きょとんとした表情でたずねる。
「いや、ちょっとそいつ貸してほしいねんけど。偶然会ったんやから遊びたいなって」
「それは悪いですけど、僕ら急いでるんですよ。今日は2人で僕のおばあちゃん家行くんで」
「あぁ、そーなんや」
「はい、そっから2人で遊ぶんで。また今度、偶然会ったら、遊びましょ?」
じゃあ僕ら行くんで、さいなら、一方的に話を切ると一礼して俺の手をとる。
いつもとは違って、しっかりと手を握る。
「文一くん、行こー」
向こうにも聞こえるように大きめの声。
路地から離れて少し複雑に入り組んだ道に進む。
「河原へゴー」
何事もなかったかのような龍太の明るさにはほんまに救われる。
「龍太、ありがとう」
「俺お芝居上手いかもな」
渾身のドヤ顔。
「ほんまやな。助かったわ」
「な?俺もいて良かったやろ?」
「そやな」
「やった!じゃあずっと隣におるわ」
「嬉しいけど、ほんまに?」
「拒絶されてもおるわ」
「せえへんわ」
小さな幸せってこんなとこにあるんやな。
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はる。(プロフ) - 山田さんちのきりたんぽさん» これ以上ないほどのお褒めのお言葉、本当に嬉しいです!心より感謝しています! (2018年3月27日 8時) (レス) id: 288b74a3e8 (このIDを非表示/違反報告)
山田さんちのきりたんぽ(プロフ) - はる。さん» なんか、同じようなコメントばっかりですみませんm(_ _)mでも、ちゃんと心は込めているので、お許し下さい(>_<)私、室龍太くんが大好きなので、はる。さんの作品を読むとキュンキュンします!! (2018年3月26日 22時) (レス) id: fd80dbcfbc (このIDを非表示/違反報告)
はる。(プロフ) - 山田さんちのきりたんぽさん» この作品にもコメントありがとうございます!本当に嬉しいです!励みになりました!今後ともよろしくお願いします! (2018年3月26日 22時) (レス) id: 288b74a3e8 (このIDを非表示/違反報告)
山田さんちのきりたんぽ(プロフ) - この作品、とても面白いです!これからも更新頑張って下さい(*^_^*) (2018年3月26日 20時) (レス) id: fd80dbcfbc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる。 | 作成日時:2017年12月8日 18時